『フライト・リスク』映画レビュー 実力派が演じる最高度航空アクション

『フライト・リスク』は、タイトでシャープ。最後まで途切れることなく航空サスペンスのスリルが過熱していく。

アカデミー賞監督賞に2度ノミネートされ、『ブレイブハート』で受賞したメル・ギブソン監督の最新作。2004年の『パッション』以来の全米週末1位獲得作品。メル・ギブソン監督が純粋な娯楽映画を撮るのも珍しい。演じている俳優たちは実力最高度だ。

アラスカからアメリカ国内へ証人を送り届ける任務にたずさわる保安官補のハリス(ミシェル・ドッカリー)。アンカレッジへ向かう航空輸送の飛行機は予想に反して小さな小さなセスナ機。ベテランパイロットのダリル(マーク・ウォールバーグ)は話し好きで、ハリスといいコンビになるかと思われた。ところが、そこには驚愕の秘密があった。

ハリスを演じているのは『ダウントンアビー』の長女役でブレイクしたミシェル・ドッカリー。ガイ・リッチー監督の映画『ジェントルマン』でもキレのあるカッコ良さを見せてくれたが、ハリス役では細かい表情の変化と時折見せる弱気な面が新鮮だ。

証人ウィンストン役に、『スパイダーマン3』でヴェノムを演じたトファー・グレイス。知名度は低いかもしれないが、選りすぐりの映画にしか出ないことで有名。業界の評価は高い。前作は『インターステラー』。個人的には彼の珠玉の演技を見るだけで得した気分になる。


一番驚かされるのが、パイロットを演じる主演のマーク・ウォールバーグ。演技の幅の広さで実力を見せてくれる。今までファンではなかった人でも彼の愛嬌演技に魅了される可能性を感じた。

『フライト・リスク』は、小ネタアリ小技ありアグレッシブな肉弾戦あり。そして陰謀。予測不能度も高い。航空アクションの醍醐味もある。アラスカの山並みの美しさを(長時間)堪能できるのは嬉しい。

(オライカート昌子)

フライト・リスク
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3月7日(金)新宿バルト9ほか全国公開
配給:クロックワークス
監督:メル・ギブソン『ハクソー・リッジ』『ブレイブハート』     脚本:ジャレッド・ローゼンバーグ
出演:マーク・ウォールバーグ『トランスフォーマー』『テッド』シリーズ
、ミシェル・ドッカリー『ジェントルメン』『ダウントン・アビー』シリーズ
トファー・グレイス『インターステラー』『スパイダーマン3』
2024年|アメリカ|英語|91分|カラー|シネマスコープ|5.1ch|原題:FLIGHT RISK|字幕翻訳:北村広子|
映倫:G(一般) 
公式サイト:https://klockworx-v.com/flightrisk/ 公式X:@FlightRiskJP #フライト・リスク