『侍タイムスリッパー』山口馬木也さんインタビューの4回目は、山口さんのおすすめの時代劇や、時代劇アピールの方法について、山口馬木也さん独自のアイデアについてなどお伺いしました。
山口馬木也さんインタビュー その1
山口馬木也さんインタビュー その2
山口馬木也さんインタビュー その3
山口馬木也さんインタビュー その5
『侍タイムスリッパー』主演 山口馬木也さんインタビュー
この状況に感動する理由とは
━━今、拡大公開ということで、共演者さんともそのお話をされたりするんですか?
山口馬木也さん:会うと泣いちゃいますね。僕も京都で、師匠の峰さんと会ったときに、二人同時に涙目で、「良かった」って。話しているだけでジーンと来ました。
撮影がしんどかったからとかじゃなく、今、いろんな人に愛されていて、時代劇を大切にしたいとか、映画を大事に思う人たちが、この状況で作ったものが、お客様に喜ばれるという状況が感動なんですよ。
自分の息子が何かを達成した時に近いのかな。子どもが、大学に受かったとか、受かってよかったねというノリ。何かがどうなったというより、お客さんに愛されているね、ということでみんなそこでウルウルしている。
映画『侍タイムスリッパー』は時代劇の入門書
━━私は、時代劇がなじみがなかったんですが、今回の作品を観て、すごく面白いなって思ったんです。
山口馬木也さん:よかったです。嬉しい。若い人にも観て欲しいなと思うから、ありがたいんですよ。もちろん、もともと時代劇のファンの方もありがたいし、時代劇に興味がない人にも、観て楽しかったと言われることも嬉しいし、次につながるじゃないですか。
こういう若い方が取材してくださって、観ている人にも若い人がいて、じゃあ観ててみようかな、観たら面白い、と言ってくださることが、次につながる。
時代劇は、固い、難しい、というイメージが、先に来ちゃう。だけど、ちょっと見方の角度を変えてあげたりすると、時代劇ってすごく面白いから。『侍タイムスリッパー』は、入門書みたいなところがあるでしょう? ちょっと。
黒澤映画は意外なところがおもしろい
━━これを観た後におすすめしたい時代劇はありますか?
山口馬木也さん:やっぱり黒澤明の映画は観た方がいいんじゃないかと思います。今観ても、白黒であったりするけど、全然古くないですよ。黒澤明という名前も巨匠になってるから難しいという印象はあると思いますが。
━━難しいイメージがあります。
山口馬木也さん:いや本当にハマると思いますよ。意外なところが面白い。
━━観てみます。
山口馬木也さん:そうすると、本当に時代劇のイメージが変わると思います。
━━時代劇のムーブが起こると面白いですね。
山口馬木也さん:でも作るには、お金がいっぱいかかるものですからね。試行錯誤して作らないと難しいと思うんだけど。時代劇のムーブメントが、きたらありがたいですよね。ほんとうに。
時代劇アピールための秘策とは
━━同じような質問になってしまいますが、今、若者に時代劇をアピールするとしたら、どういった視点で楽しむのが、面白いですかね?
山口馬木也さん:僕のアプローチの仕方はちょっとひねくれているけれど、僕は子どもたちに観せるのが第一かなと思っています。小学校や中学校の映画鑑賞会などで。
中には、たまたま、『侍タイムスリッパー』を、観てくださって、また時代劇映画を観ようという方もいらっしゃると思います。だけど、時代劇が固い、難しいっていうイメージって、なかなか拭い去れないんですよ、だとすると、もともと時代劇なんて難しくないと思う世代を作ればいいなと思っていて。
━━ああ、そうですね。
山口馬木也さん:そうすると、彼らに影響されて、今度は上の世代が、変わることもあり得ると思います。
━━あり得ますね、一緒に見ようと。
山口馬木也さん:そう、それで子どもたちが、チャンバラをやりたいとなった時に、影響される人も出てくるし、その子たちが大きくなって、そういうものが観たいとなると、上の世代の人たちは、作り始めるでしょうし、だからやっぱり、未来ということを考えると、子どもたちに観てもらいたいです。実際、僕の友達とかはね、子ども連れて観に行ったよという方もいて。送ってくれた動画は全部、チャンバラごっこをしているんですよ。
━━ほんとですか?
山口馬木也さん:うちの子どもそうだし。
━━えーっ!
山口馬木也さん:びっくりしましたよ。子ども用の刀を買ってくれって言って、で、それでセリフも結構覚えてて。小学校一年生が、「いや、心配ご無用」って。
━━それってすごいですね。
山口馬木也さん:僕もびっくりしました。
━━どこで覚えたんですか?
山口馬木也さん:どこで覚えたんだって。いや、観たけど、えっ?ていうようなことをやってるんですよ。それを見て、うちの子どもたちには、時代劇だ、現代劇だ、というカテゴリーはないわけですよ、ジャンル分けされてないんですよ。映画は映画、面白ければ面白い。時代劇は、チャンバラがあって面白いってことです。
━━固くとらえ過ぎてないってことですね。
山口馬木也さん:そうです。黒澤明だって、当時はただの娯楽ですから。そこまで時代劇という枠ではないんです。娯楽作品であり、今でいう若者が観たたいであろうコンテンツの一つだったわけです。それを復活させるのは、子どもたちなんじゃないかと思います。もともと時代劇が好きだった大人の方には、もっともっと引っ張り上げて欲しいし、若い方たちには作って欲しいですね。
━━また新しい作品が、面白いものが生まれたらいいなと思います。広がっていくといいですね。
山口馬木也さん:若い人たちの感性やそういうものに引っかかっていかないことには絶対残らないから。
━━『侍タイムスリッパー』は、すごく話題性もありますね。
山口馬木也さん:それはとてもありがたいです。若い人からの意見も届くから。そのままよろしくお願いしますっていう感じですね。それしか言えない。
(取材/撮影 オライカート彩(インスタグラム))
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