『侍タイムスリッパー』は、全国拡大公開され、好評をを集めている話題作。主演の山口馬木也さんインタビューの2回目は、山口さんが持っている”侍”のイメージ、斬られ役の難しさ、映画『『侍タイムスリッパー』』を何度も見てしまう理由などについてお話をお聞きしました。
『侍タイムスリッパー』主演 山口馬木也さんインタビュー その1 を読む
『侍タイムスリッパー』主演 山口馬木也さんインタビュー
山口馬木也さんが持つ侍のイメージとは
━━ご覧になった方のご意見を拝見していると、山口さんが本物の侍に見えたという意見が多いのですが。
山口馬木也さん:本物の侍じゃないんですけどね(笑)
━━山口さんにとって、本物の侍ってどういうイメージがありますか。
山口馬木也さん:現代に生きているとすると、僕の中では、使命を持って生きている人ということかな。侍に例えられる人が、生きているとすると、自分以外に何かを大事に思っていたり、大切にしている人が当てはまることが多いような気がします。
だから高坂新左衛門の時代で言うなら、国のためとか、上司のためとか、将軍のためとか、そのために自分は死んでもいいという覚悟を持ってるじゃないですか。
現代で例えるのであれば、家族のため、子どものためとか、誰かのためにと思うときに、多分、侍だなと感じるんじゃないかな。人に依存しているとかではなく、単純にそういう風に生きていく方が、明確な答えを見つけやすいんじゃないかなと。
自分のためだけに生きていくのはしんどいと思うんですよ。だからそういうものを身近に見つけられている人は、大なり小なり、侍っぽく生きているように僕は思うんです。そういう遺伝子が根付いていると思う時はありますね。
山口馬木也さんにとって大切にしたいものとは
━━山口さんにとって大切なものはありますか?
山口馬木也さん:いっぱいあります。まず家族だし、周りにいる人だし、今この瞬間の時間だし。今こうして向き合ってお話していることも重要なことだと思うんです。
━━手が届く範囲ということでしょうか。
山口馬木也さん:そう、それ以外のことは、僕には分不相応だから。だから、今お話しして、楽しくお話できればいいなというのが一番の目標だし、家に帰ったら家族がいて、そこはもう終始かけがえのない存在だし。サポートしてくれる人もそうだし、そういうことはとても大事かな。当たり前に。
━━当たり前に。
山口馬木也さん:それ以上のことはあまり考えてないですね。国がどうのこうのとか、映画界全体がどうとか。時代劇は好きだけど、時代劇がどうとかは、僕には分不相応かな。
斬られ役の難しさが演技を追求するきっかけになった
━━演技の方に戻りますが、斬られ役のご経験は?
山口馬木也さん:あります。
━━どういった感じでしたか?
山口馬木也さん:難しいですね。例えば主役だったら、こうこうこうと行くじゃないですか。でも合わせてくれている人たちは、タイミングをずっと見計らっているんですよ。斬る側は来たら斬るだけなんですけど、そのためにこっちはタイミング良く斬りかかっていかなければいけないんですよ。相当な技術がいるんです。
斬る側は、呼吸を合わせるのではなく、合わせてもらうんですけど、合わせる人は大変なんです。今回、京都の方でたくさん斬られ役の方が出演していますが、現場と稽古の繰り返しがないと、多分できないと思います。見よう見まねはできるかもしれないけれど、本当にそれが成立するかというと、相当な時間と訓練が必要になります。
━━ナチュラルにやられているように見えますが、裏側は違うんですね。
山口馬木也さん:そう。やったらわかります。僕も最初にやった時、芝居を始めたきっかけはそれだったんです。
みんな当たり前のようにやっているから、誰でも出来るんじゃん。みんなうまいし、おしゃべりするようにやっているから。こんなこと誰でもできるんじゃないか、と思って現場に行ったら、まあ、何もできなくて。
それでこの仕事がどれだけ難しいかを知って、それから追求してやってみたいなと思ったんです。だから立ち回りの時に、最初に当たり前のように刀を抜いて、当たり前のように斬るけれど、それすらとても難しいし、着物を着て動くことも難しい。
━━動きにくそうですね。
山口馬木也さん:着慣れていないと、着せられた感がでちゃうんですよ。
『侍タイムスリッパー』を何度も見てしまう理由とは
━━でちゃうんですね。見ている側はわからないですけど。
山口馬木也さん:見ている側もわかると思います。あそこに出ている人で、そういう人は一人もいなくて、京都のプロの俳優たちだから、後ろで歩いている人たちもみんなプロの方なので違和感がないんですよ。多分一般の人がやると、違和感しかない。
━━どんなシーンでも魂が込められているんですね。
山口馬木也さん:そう。だから僕もこの映画が好きで。、自分で出ている映画を何回も観るタイプではないんですが、この映画はいろんなシーンを観ちゃう。こんなことをしているんだ!って。
━━発見があるんですね。
山口馬木也さん:そう。後で聞いてみると、「だから画が埋まる」。だから何でもないシーンでも、ここがあるから、このシーンが好き、ということが凄く多いんです。
(取材/撮影 オライカート彩(インスタグラム))
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侍タイムスリッパー
絶賛公開中
©2024 未来映画社
配給:ギャガ 未来映画社