『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は、ホラー・スリラーのジャンルに収まらない大ヒット映画です。圧倒的な話題と評価を得た『クワイエット・プレイス』の続編ですが、それ以上の大ヒットとなり、評価も高い作品となっています。『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』を見るために,知っておきたい基礎知識と、見逃せないポイントをまとめてみました。
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』の知っておきたい基礎知識
基礎知識 その1 『クワイエット・プレイス』、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』の大成功とは
2018年に公開された、前作『クワイエット・プレイス』は、1億8千万ドル以上を稼ぎ出し、全米年間15位とホラー・スリラージャンルとしては大成功を収めました。ホラー・スリラージャンルで『クワイエットプレイス』以上の歴代ヒット作は、『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。 』のみです。
『クワイエット・プレイス』は、評価も高く、アカデミー賞を含む、118の賞にノミネートされ、AFI賞(アメリカン・フィルム・インスティチュート)の受賞を含む賞も獲得しています。
今作の『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』の評価も高く興行収入も、前作を大きくしのぐオープニングを飾りました。アメリカの有名映画批評サイト、Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)では91点。オールタイムベストホラーでは、2位(ちなみに一位は、『死霊館』です)
基礎知識 その2 音を立てたらいけない!その理由とは?
「音を立てたらいけない」が、『クワイエット・プレイス』の第一原則。一作目の『クワイエット・プレイス』は、冒頭のシークエンスの巧みさで、その原則を鮮やかにわかりやすく表現していました。『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』も最初に描かれる一日目”Day1”でそのことが明らかにされます。”何か”は、音にのみ反応するのです。
基礎知識 その3 キャスト陣のキャリアを押し上げるブースター
『クワイエット・プレイス』は、キャスト陣のキャリアをぐーんと押し上げるナンバーワンヒット作となりました。
エミリー・ブラント(イヴリン・アボット)
アボット家の母、イヴリンを演じているのは、エミリー・ブラント。『プラダを着た悪魔(2006)』で数々の賞を受賞。その後、『ガール・オン・ザ・トレイン』、『オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014)』、『ボーダーライン(2015)』など数々の話題作で、ノミネート、受賞を成し遂げています。ですが、彼女の一番のヒット作は、『クワイエット/プレイス』、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』です。
ジョン・クラシンスキー(リー・アボット)
父親役のリー・アボット役と兼任して、監督/脚本も手掛けているのが、ジョン・クラシンスキー。『クワイエット・プレイス』で、数々の賞にノミネート、受賞をしています。
ミリセント・シモンズ(リーガン・アボット )
アボット家の長女、リーガンを演じるミリセント・シモンズは、二作品とも大きな存在感を持っていますが、特に最新作では、主軸を担う大切な役柄。彼女の大きく成長した姿は胸を熱くします。
ノア・ジュブ(マーカス・アボット)
アボット家の長男、マーカスを演じているのは、今や売れっ子のノア・ジュブ(ノア・ジューブ)。『ハニーボーイ』では演技力を評価され、数々の賞を受賞しています。『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』でも傑出した存在感と演技力を見せてくれます。
キリアン・マーフィ(謎の男)
長いキャリアと、美しい青い瞳が印象的なキリアン・マーフィが新キャストとして加わりました。彼のファンも、初めて見る人も、スター性に驚かされるのではないでしょうか。彼の演じる役柄に大注目です。
これだけは見逃すな!クワイエットプレイス 破られた沈黙の見どころポイント
ポイント1 本物の感触
一作目の『クワイエットプレイス』の成功の理由はいくつかあると思いますが、その一つに、フィクションであるホラー・スリラーには滅多にない、リアルさです。
本物1
『クワイエット・プレイス』のアボット夫婦を、現実に夫婦である、ジョン・クラシンスキー(リー・アボット )とエミリー・ブラント(イヴリン・アボット)が演じているということ。
本物2 エミリー・ブラントは本当に妊娠していたこと。
本物3 長女のミリセント・シモンズは聾者(ろう者)であること。
さらに、撮影中にも音に最大限の注意を払い、自然音のみの撮影をするぐらい、リアルさを追求しています。フィクションにノンフィクションのかすかな味わいがある作品だとも言えます。
この現実に裏付けされたポイントは、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』でも健在。リアルな体感を味わうことができます。
ポイント3 一日目の衝撃
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』は、一作目の『クワイエット・プレイス』では描かれなかった、全てが始まった一目からスタートします。平和な日常の風景が、壊れて激変していく光景は衝撃的です。このオープニングの効果として、一作目を見ていなくても全く問題がないこと、アボット一家に親近感と共感を得ることができること。
ポイント4 守ることと救うこと
一日目の衝撃の後、映画は『クワイエット・プレイス』が終わった時点からスタートします。残されたアボット一家の面々は、住み慣れた農場から離れ、外の世界に救いを求めていきます。
一瞬でも音を立てたら、襲われるという緊張感と恐怖のなか、彼らの目的ははっきりしています。通常のホラー・スリラーなら、逃れること、生き延びることが第一の目的ですが、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』では、守ること、救うことがより大切。そこがこの映画を味わい深いものにしている一番のポイントです。
ポイント5 伏線の効果
映画や本やコミックでも伏線が回収されたときのスッキリ感はなかなかのものがありますが、この映画で描かれる伏線の効果ほどわかりやすい上、大きなものは見たことがありません。誰にもわかる、伏線の配置と回収に驚きと喜びが味わえます。
ポイント6 破られた沈黙の大きな意味
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』の見どころは、スリリングな展開と巧みな構成が上げられます。誰が何を目的にどう動くのか、新たな登場人物の役割など、実に効果的。そして、最大限の見どころは、”破られた沈黙”のシーン。その瞬間に、テーマとストーリーの意味が、生かされているのです。
(オライカート昌子)
クワイエット・プレイス 破られた沈黙
6月18日(金)全国公開
(C) 2021 Paramount Pictures. All rights reserved.
監督・脚本・製作・出演:ジョン・クラシンスキー
製作:マイケル・ベイ、アンドリュー・フォーム、ブラッド・フラ-
出演:エミリー・ブラント、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュプ、キリアン・マーフィ、ジャイモン・フンスー
原題:A Quiet Place: Part II
配給:東和ピクチャー