『赤い糸 輪廻のひみつ』映画レビュー ピュアでカラフル、エネルギッシュ!オールジャンルを網羅するパワフルムービー

『赤い糸 輪廻のひみつ』は、12月22日に公開されるや、SNSで話題を呼び、年間ベスト映画に選出する人も爆増した台湾映画。果たしてどんな映画なのか、気になってたまらなかった。

まず、『赤い糸 輪廻のひみつ』というタイトルだけ見ると、輪廻や恋愛を描いた優しそうでピュアなイメージがある。ところが、『赤い糸 輪廻のひみつ』は、そういう部分もあるけれど、”やわ”な映画ではなかった。むしろエネルギー爆発的、オールジャンルを網羅したパワフルムービーだったのだ。思わずのけぞってしまうほどの。

繊細でカラフル。お洒落でピュアな部分もある。コメディ要素もある。泣ける悲恋もある。アクションもあれば、力技もある。宇宙レベルの愛もある。例えると、高級ホテルのビュッフェテーブルに、たくさんの料理が乗っていて、こんなにたくさん! こんなに美味しい! と言えるような。日本の高級料亭の精妙で格式高いレベルの料理も並んでいる。少しゲテモノもある。そして締めが最高級、といった感じだ。それほど脚本設計が巧みなのだ。

シャオルンは、落雷で命を落とし、冥界にいた。なぜか生前の記憶がない。そこで出会ったのは、死んでしまったことを受け入れられない若い女性、ピンキー。二人とも数珠を持っていたけれど、黒い玉が多い。そのままでは、人間に転生するどころか、虫レベルからの転生をしなくてはならない。そうならないため、縁結びの神様「月老(ユエラオ)」育成プログラムに参加することに。

「月老」になれば、数珠の玉を白に変えることができる。「月老」には、法則があった。ジェンダーもセクシュアリティも何物も愛を妨げないこと。赤い糸で結ばれると、愛が実るまで命が尽きることはない。

シャオルンは、「月老」として現世に戻る。あるきっかけで、初恋の女性、シャオミーとの約束を思い出す。そのころ、冥界では、騒動が起きていた。怨霊・鬼頭成が地獄の門番・牛頭、馬頭の守衛を破り、冥界を抜け出し、地上に向かっていた。

監督は、「怪怪怪怪物!」「あの頃君を追いかけた」のギデンズ・コー。シャオルン役を「あの頃、君を追いかけた」のクー・チェンドン、シャオミー役を「私の少女時代 Our Times」のビビアン・ソン、ピンキー役を「返校 言葉が消えた日」「僕と幽霊が家族になった件」のワン・ジン。

日本を含めアジア映画の勢いには、驚くばかりだ。そのエネルギー、独創性や、心をつかむ力。思い出すたびに熱さを与えてくれる映画が増えていく。

(オライカート昌子)

赤い糸 輪廻のひみつ
シネマート新宿・シネマート心斎橋 他にて全国順次公開中!
©️ 2023 MACHI XCELSIOR STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.
監督・脚本:ギデンズ・コー(九把刀)
キャスト:クー・チェンドン(柯震東)、ビビアン・ソン(宋芸樺)、ワン・ジン(王淨)、マー・ジーシ
アン(馬志翔)
2021 年/台湾/128 分/カラー/シネスコ/5.1ch
原題:月老 Till We Meet Again 字幕翻訳:神部朋世
配給:台湾映画社、台湾映画同好会
作品 HP:https://taiwanfilm.net/yuelao/
映倫番号:49997 映倫区分:G