さきの東京国際映画祭で前売り券が瞬く間に売り切れとなった話題作。
『ドラえもん のび太と鉄人兵団』(1986年)、
『アイアン・ジャイアント』(1999年)同様、
大人の観客にもしっかりと響く傑作ロボット映画でもある。
『野生の島のロズ』プレスシートの登場キャラクターを知るだけで
その情景が広がりワクワクとする。
●ROZZUM 7134(ロズ)
ユニバーサル・ダイナミクス社が人間の生活をより快適にするために
開発した最新型アシスト・ロボット。
嵐の後に無人島に漂着し、過酷な大自然の中で生き残る術を、
野生動物のマネすることで学んでいく。
ある日、雁の卵を拾い、雛を解すことに。
そのひな鳥をキラリ”と名付け育てることになる。
●チャッカリ
無人島でロズと出会う、ハズレ者のキツネ。
ずる賢く臆病な性格で、最初はロズと敵対し警戒するが、
徐々に彼女の存在を受け入れ友情を育んでいく。
ロズと一緒にキラリの成長を見守りながら、
自然界のルールやサバイバルスキルを教える。
●キラリ
ロズによって育てられる雁のひな鳥。
小さな体つきと、母親がロボット(ロズ)だという理由で、
周りから仲間外れにされながらも、実直な性格で問題を乗り越えていく。
●ピンクシッポ
たくさんの子供たちを逞しく育てるオポッサムの母親。
生まれたばかりのひな鳥”キラリ”を育てることになったロズを、
的確なアドバイスでサポートする。
●クビナガ
島で最年長の雁。渡り鳥のリーダーとして、
何千羽もの仲間の安全と快適な暮らしを見守る。
ロズに寄り添い、キラリの長所を見出して成長を支える。
●ヴォントラ
行方不明になっていたロズを見つけ出し、
回収するために島へとやってきた
ユニバーサル・ダイナミクス社のロボット。
任務遂行のためなら手段を選ばない。
●パドラー
不機嫌で引っ込み思案なビーバー。
支配欲が強く、その性格が原因で感情が爆発してしまうことも。
働き者で、その職人技は島を救う鍵となるのか。
●ソーン
島の野生動物界の頂点に君臨するクマ。
周囲からは恐れられているが、
その圧倒的な力強さは島の存続に欠かせない要素となるはずだが。
劇中に登場する動物は、合計で47種類にのぼるという。
鳥たちが海を渡るシーンでは合計 28,710羽の雁を登場させ、
合わせて102,838, 147本の羽根が作成された。
ロズが無人島をさまよい、森の中を歩くシーンでは 80,000頭の蝶が群舞し、
観る者を圧倒する。
こうしたキャラクターだけで思い浮かべる映画がある。
ディズニーの『バンビ』(1942年、日本公開は1951年)だろう。
「ディズニーの古典映画やスタジオジブリの宮崎駿からも多大な影響を受けた」と
話すのはクリス・サンダース監督。
『リロ&スティッチ』(2002年)、『ヒックとドラゴン』(2010年)など
大ヒットを経ての原点回避とも言えよう。
そしてそこには現代が抱えるキビしい現状も組み込まれている。
ウクライナなど世界各国の戦争、侵略、紛争。
環境悪化による飢饉と食糧難。
そして、子どもを含めた人権問題、そして差別。
けっして声高にメッセージを掲げているわけではないが
『野生の島のロズ』に登場する、そして動き回るキャラクターの
表情を見るだけでグッと心に迫るモノがある。
家族、共存、多様性といった現代的なテーマが内包されている。
主人公のロズに声優として命を吹き込んだのは、
『それでも夜は明ける』(2013年)でアカデミー賞助演女優賞に輝いた
ケニア系メキシコ人のルピタ・ニョンゴ。
日本語版では綾瀬はるかが受け持つが、
ふたりの声質が驚くほど似ているので聴き比べるのも一興だろう。
3月発表のアカデミー賞では当然ながらアニメ部門ほか
ノミネートは果たしているが、
本枠作品賞でのノミネートも切望された『野生の島のロズ』!
願わくは!!
4DXの体験型アトラクションシアターで観たい映画である。
『野生の島のロズ』
2月7日(金)劇場公開
■監智・脚本:クリス・サンダース
■ 製作:ジェフ・ハーマン
■音楽:クリス・バワーズ
■原作:「野生のロボット」福音書店刊
(ピーター・ブラウン作・絵、前沢明校訳)
■ 原題: THE WIID FOROT/アメリカンカラー/2024年/102分/
スコーブサイス/ドルビーデジタル/
字幕翻訳:林完治/吹替翻訳:桜井裕子
■配給:東宝東和、ギャガ
■コピーライト:©2024 DREANNORKS ANIMATION LLC.
■日本語吹替えキャスト:
綾瀬はるか(ロズ)、柄本佑(チャッカリ)、鈴木福(キラリ)、
いとうまい子(ピンクシッポ)、千葉祭(クビナガ)、種崎教美(ヴォントラ)、
山本高広(パドラー)、滝知史(サンダーボルト)、田中美央(ソーン)、
漬崎司(赤ちゃんキラリ)
■オリジナル声の出演:
ルピタ・ニョンゴ(ロズ)、ペドロ・パスカル(チャッカリ)、
キット・コナー(キラリ)、キャサリン・オハラ(ピンクシッポ)、
ビル・ナイ(クビナガ)、ステファニー・シュウ(ヴォントラ)、
マット・ベリー(パドラー)、ヴィング・レイムス(サンダーボルト)、
マーク・ハミル(ソーン)