『ソニック・ザ・ムービー ソニック vs ナックルズ』映画レビュー

個人的に今年の夏一番期待していた映画は『ソニック・ザ・ムービー ソニック vs ナックルズ』だ。前作の『ソニック・ザ・ムービー』はバランスが取れた娯楽作品として質が高かった。

ジム・キャリーが演じたロボトニック博士は、往年の輝きを倍にしたような力のこもった演技だった。宇宙一足の速いハリネズミのソニックの孤独と、仲間ができた時のぬくもりまでの”心の旅路”は、アクションエンターテイメントの教科書のようだった。

二作目の『ソニック・ザ・ムービー ソニック vs ナックルズ』は、ジム・キャリーの怪演やソニックの心の旅路こそ一作目には及ばなかったが、大冒険アクションエンターテイメントとしては、飛び切りの面白さだ。

難敵ナックルズの登場、ソニックをサポートするためにやってきたテイルズの個性も映画世界を大きく広げている。テイルズの秘密兵器リュックサックが、まるでドラえもんの4次元ポケットのようで楽しい。

日々、ヒーローになるために活躍中(迷走中)のソニックのもとに、キノコ惑星で力を蓄えたロボトニック博士が再び襲ってくる。共にいるのは、史上最強の破壊力を持つマスターエメラルドを探し求めるナックルズだった。

マスターエメラルドのありかは、ソニックが持っていた地図にヒントがあった。果たして誰がマスターエメラルドを手に入れるのか。

ストーリーは、ソニックの速さのように前半から飛ばしまくる。ロシアやハワイ、孤島や古びた寺院など、冒険映画としても文句なしだ。

ロボトニック博士のパワーは前作より少し控え目だったが、それを強力に補うのが、ソニックの親代わりで前作で”ドーナツ卿”と呼ばれていたトーマス・マイケル・“トム”・ワカウスキーの義姉レイチェルだ。ハワイでの結婚式のくだりは、突然スパイアクションになる。ハートの1977年の名曲『バラクーダ』が流れる中の破壊と再生は、大人観客をうならせる。

(オライカート昌子)

ソニック・ザ・ムービー ソニック vs ナックルズ
8月19日(金) 全国公開
2022年製作/123分/G/アメリカ
原題:Sonic the Hedgehog 2
配給:東和ピクチャーズ
(C)PARAMOUNT PICTURES AND SEGA OF AMERICA, INC.
監督:ジェフ・ファウラー(『ソニック・ザ・ムービー』)
脚本:パット・ケイシー、ジョシュ・ミラー、ジョン・ウィッティントン 
ストーリー:パット・ケイシー、ジョシュ・ミラー 
製作:ニール・H・モリッツ(『ワイルド・スピード』シリーズ)、トビー・アッシャー、中原徹、奥野仁 
製作総指揮:里見治紀、杉野行雄、内海州史、ナン・モラレス、ティム・ミラー(『デッドプール』)
出演:ジェームズ・マースデン、ベン・シュワルツ、ティカ・サンプター、ナターシャ・ロスウェル、アダム・パリー、シェマー・ムーア、コリーン・オショーネシー withイドリス・エルバ and ジム・キャリー 
日本語吹替版:中川大志、山寺宏一、木村昴、広橋涼、中村悠一、井上麻里奈