『エレベーション 絶滅ライン』映画レビュー 強い敵に立ち向かう覚悟

映画『エレベーション 絶滅ライン』は、文明崩壊後の「ポストアポカリプス」を描くモンスター出現映画。リーパーと呼ばれるモンスターの強さは脅威的だ。出現したとたん、たちまち人類の96%を絶滅させてしまった。リーパーと対峙する条件設定が独自で映画のポイントの一つとなっている。リーパーは、標高2500メートル以上では襲ってくることができない。

高い場所に逃げるのに成功した生き残った人々は、高地にぽつりぽつりとコミニュニティを作り、乏しい日用品を大切に使いながら生活していた。冒頭でリーパーの出現から3年経ち物資の不足は、耐えられないレベルとなっていた。

リーパーはなぜ2500メートル以上は登れないのか。銃も武器も歯が立たない強さの秘密はどこにあるのか。それを解き明かそうとしている科学者ニーナ(モリーナ・バッカリン)と、息子を生き延びさせるため薬を必要としている父親ウィル(アンソニー・マッキー)、そしてウィルの友人のケイティ(マディー・ハッソン)の3人で、決死の旅に出立する。

旅は2500メートルより下に降りない道を行くべきだが、そんな簡単にはいかない。当然危険なルートを通る必要にも迫られる。常に危険が後ろに迫る厳しい旅となる。

父親を演じているのが、「キャプテン・アメリカ ブレイブ・ニュー・ワールド」のアンソニー・マッキー。女性科学者を演じているのが、『デッドプール』のモリーナ・バッカリン。この二人が個性的で映画の味を決定している。ニーナはどう見ても科学者には見えない。気性の荒い無法者だ。本来ヒーローの役割を果たすべきウィルの肝の座り具合は弱め。一見可愛らしい3人目のケイティ(マディー・ハッソン)が、覚悟を極めている。彼女には、いつかはリーパーと対峙して、殲滅させなければ未来はないと心に決めている。

今まで女性がこれほど活躍するモンスター映画はあっただろうか。今や映画の世界でも女性の活躍が無視できない。敵が強ければ強いほど、彼らの信念の強度が伝わってくる。

エレベーション 絶滅ライン
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7月25日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国公開
配給:アット エンタテインメント
監督:ジョージ・ノルフィ『ボーン・アルティメイタム』(脚本) 製作:ブラッド・フラー『クワイエット・プレイス』『パージ』
出演:アンソニー・マッキー『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』、モリーナ・バッカリン『デッドプール』シリーズ、マディー・ハッソン『マリグナント 狂暴な悪夢』
2024年/アメリカ/英語/91分/カラー/シネスコサイズ/原題:Elevation/配給:アット エンタテインメント/
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