『バジーノイズ』映画レビュー 仲間大集合の醍醐味

仲間が集まっくてくるストーリーは、心を熱くしてくれる。漫画でいうなら、『ワンピース』が代表格。小説でいうなら、『三銃士』。映画でいうなら、『オーシャンズ』シリーズや、『ワイルドスピード』シリーズだ。

仲間は、それぞれが、自分にしかない武器を携えて、みんなのために、そして、一人のために闘う。一つの目的のためにまとまっていく。しびれるプロセスだ。

映画『バジーノイズ』の場合は、音楽。最高の音楽、気持ちがいい音楽、他にない音楽を作り上げ、世界に発信する。その目的が、彼らをまとめ上げている。それだけじゃない。お互いの大好きという気持ちや、信頼も大切なエンジンだ。

最初は、清澄(川西拓実)。彼はたった一人、満足して生活していた。自分の頭の中にある音楽を形にし、それを自分のために流す。至福と快楽の日々にどっぷり浸っていた。その喜びのためには、不必要なものは、全部捨ててしまう。そのぐらい、シンプルで真っすぐに生きていた。

ただ、いつまでもそうはいかない。ご近所トラブルに見舞われた。そのご近所トラブルが、不運と幸運の両方を清澄にもたらしていく。

清澄の前に、グイっと踏み込んできたのは、団地の上の階に住む女性、潮(桜田ひより)。潮は、今まで”好きなもの”を、自分で選んだことがなかった。人のおすすめや、口コミを信じ、それが自分の好きなものだと思い込んでいた。

そんな彼女が、偶然耳に入ってきた清澄の音楽に、今までと違ったものを感じた。「これは、私が”好き”なものだ」という確信。彼女は、清澄の一番目のファンになる。

仲間、人とのつながり、好きという気持ち、不運と幸運の入れ替わり、『バジーノイズ』は、いろいろな熱さポイントを並べつつ、前面に音楽がある。澄み切った青空や、キラキラ光る波がまぶしい海のような音楽だ。

個人的には、ガールズバンドを脱退し、ソロで音楽に邁進する女性岬役で円井わんさんが登場したのが、嬉しかった。彼女の出演作には外れなしと、思い込んでいるからだ。『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』では主演。最近では、話題になったドラマ『不適切にもほどがある』で、マタハラ女性役で登場していた。

(オライカート昌子)

バジーノイズ
2024年5月3日公開
2024年製作/119分/G/日本
(C)むつき潤・小学館/「バジーノイズ」製作委員会
配給:ギャガ
監督:風間太樹
キャスト:川西拓実、桜田ひより
井之脇海、柳俊太郎、円井わん
ミュージックコンセプトデザイン:Yaffle
音楽プロデュース:菊地智敦
音楽:坂本秀一
主題歌:清澄 by Takumi Kawanishi(JO1)