『バレリーナ The World of John Wick』映画レビュー 見逃せないアクションアスリート魂

『ジョン・ウィック』シリーズから、また新たな驚愕の作品が生まれた。何に驚かされたかって? それは、アクションシーンのてんこ盛りぐあいだ。『バレリーナ The World of John Wick』のおよそ70%は、壮絶でスタイリッシュなアクションシークエンスで構成されている。主人公はイブを演じるアナ・デ・アルマスは、終始動いている。

それほどアクションシーンが多いとなると、ドラマパートがおろそかなのではないかと思われるところだけれど、必要最小限のドラマは、ジョン・ウィックシリーズを見ている人なら説明はいらない。コンチネンタルホテルについても、支配人シャロンも、「ルスカ・ロマ」についても、電話番も、大事な役割を果たすジョン・ウィックは言わずもがな。見ていない人でもなんとなくわかるレベルで描かれている。

新たに登場するのは、幼い頃に父親を失ったイブ(アナ・デ・アルマス)が入ることになる鍛錬施設、バレエ学校だ。ルスカ・ロマの暗殺者(ダンサー)志望者がそこで腕を磨く。イブが強くなる過程を見せてくれる。やがて彼女は、「ルスカ・ロマ」のディレクターの指示を無視して、復讐のため自ら動く。

そこからほぼノンストップのアクションがスタートする。イブの血路を開いていく勢いは、まるでターミネーターの一作目を見ているようだ。しかもしなやかで美しい。優美で華奢な身体と、愛嬌のある表情にプラスして、肝っ玉と恐れ知らずと確かな技術、バレエで鍛えた究極の肉体。アナ・デ・アルマスのアクションシーンは、いつまでも浸っていたい気分にさせられた。もっとジョン・ウィックユニバースの世界を味わいたいと思うので、見逃していたドラマも見なくてはと思う。

『バレリーナ The World of John Wick』はシリーズ第3作「ジョン・ウィック パラベラム」(2019)と第4作「ジョン・ウィック コンセクエンス」(2023)の間の出来事となっている。監督は、「ダイ・ハード4.0」「アンダーワールド」のレン・ワイズマン。

(オライカート昌子)

バレリーナ The World of John Wick
2025年8月22日寄り全国公開中
(R), TM & (C) 2025 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.
配給:キノフィルムズ
2025年製作/125分/R15+/アメリカ
原題または英題:Ballerina
配給:キノフィルムズ
出演:アナ・デ・アルマス アンジェリカ・ヒューストン ガブリエル・バーン ノーマン・リーダス イアン・マクシェーン キアヌ・リーブス 
監督:レン・ワイズマン