のぼうの城の画像
 (C)2011『のぼうの城』フィルムパートナーズ
のぼうの城ジャパン・プレミアレポートを読む
戦国の風が吹いてくる。スペクタクルだけじゃない、肩の力を抜いた世界観が楽しい

日本映画としては最大規模の超豪華時代劇エンターテイメントが、『のぼうの城』だ。制作費がどのぐらいなのか、正確なところは知らないが、かなりなものであるのは確か。それほどの規模の映画だからこそ、様々な期待を抱く人も多いだろう。

ところが『のぼうの城』は、そんな期待は関係ないよとばかりに、おおらかで肩の力が抜けた映画なのである。戦国時代の映画なのだから、非情な世界を描いているものの、描き方に気負いが感じられない。見ている側もリラックスしながら大いに楽しめるのはずだ。

そのおおらかさの理由の一つは、主人公、成田長親の人格だ。でくのぼうののぼう様という愛称が、性格を現している。平時には、ぶらぶらしているばかりで、頼りにならない。

ところが、いざ城が存亡の危機を迎えるとなると、今まで隠していたらしい度量の大きいリーダーシップを見せてくれる。必要となれば残酷な決断も辞さない。それを飄々と、的確に演じた野村萬斎には拍手を送りたい。

のぼうの城の画像
(C)2011『のぼうの城』フィルムパートナーズ
もしかしたら、戦国時代の末ごろには、人々はあくせくしないで、この映画のようにおおらかに生きていたのかもしれない。戦争で一寸先は闇の状態が長く続けば、じたばたしても仕方ない。だったら、一瞬を楽しく、できる限りのびのびと過そうと思いながら日々過ごしていたのだろうか。

戦国時代の風が吹いてくるような、ちょっと変わった味付が見どころでもある。それだけでなくスペクタクルシーンも、戦闘シーンも期待どおりのダイナミックさで楽しませてくれる。豪華出演陣の演技合戦も見逃せない。   (オライカート昌子)

のぼうの城
11月2日(金)全国超拡大ロードショー
公式サイト  nobou-movie.jp (WEB/モバイル)