『ハンガー・ゲーム』の日本公開を楽しみにしていた人も多いだろう。何しろ、今年の映画興収で『アベンジャーズ』が公開されるまでは、『ハンガー・ゲーム』こそが、凄まじいまでのヒットで記録を塗り替えた記念すべき作品だったのだから。
そして『ハンガー・ゲーム』の出来は、期待している人を決して裏切らない。ティーン向けのベストセラー小説の映画化作品だからと侮ることなかれ。
監督は、『カラー・オブ・ハート』や『シー・ビスケット』のゲイリー・ロス。緻密で丁寧な作りは、満足度も高いはずだ。時折、息を呑むほど美しい瞬間を画面の中に織り込んでいる。
『ハンガー・ゲーム』の舞台は未来の強大な独裁政権下。国家を支える12の貧困地区からそれぞれクジで選ばれた少年・少女たちが、殺し合いのサバイバル・ゲームに参加。その模様はテレビで中継されるというプロットだ。
ジェニファー・ローレンスが演じるカットニスは、クジに当たった妹の身代わりとして競技に参加する。自分に降り掛かった運命を、選ばれたのではなく、自分こそが選んだ当人だと覚悟して立ち向かっていく。
その心意気、集中力、決意の強さこそ、一番のみどころだ。ジェニファー・ローレンスは爽やかにそして強烈な個性と存在感でカットニスを演じきる。さすがアカデミー賞ノミネート女優である。
彼女と同じ地区出身、男子で選ばれたピーター・メラークを演じるのは、有名子役出身のジョシュ・ハッチャーソン。大人の俳優として順調に脱皮しているところ。さらに『アベンジャーズ』のソーとして大活躍のクリス・ヘムズワースの弟、リアム・ヘムズワースも出演しているが、まだ顔見世程度で、続編シリーズに期待ということだろう。
ウディ・ハレルソン、エリザベス・バンクス、スタンリー・トゥッチ、ドナルド・サザーランド、ウェス・ベントリーなど豪華な共演陣の存在も映画に重量感と品格を与えている。
(オライカート昌子)
ハンガー・ゲーム
2012.9.28(金)TOHOシネマズ日劇他全国<拡大>ロードショー!
オフィシャルサイト http://www.hungergames.jp/