園監督の近年の作品の中では比較的上映時間が短い方だが、怒涛の2時間9分 である。観るだけで何百キロカロリーも消費しそうな戦慄のエネルギーがほとばしる。絶望と希望が混在する意識が、「リアル」という言葉では軽く感じるほど生々しく、気分が落ちているときに鑑賞するのは推薦できない。園監督の描く「日常に潜む狂気」は健在だが、今回はいつも以上に「普通」が登場しない。
舞台が東日本大震災後の被災地に設定されているが、特にそうでなくても園監督が放つテーマは充分伝わってくると思う。ただラストの感動は、被災した人も含め、絶望した多くの人にもう一度立ち上がる勇気を与えてくれるだろう。毎回すごい世界へ連れて行ってくれる園子温。相当な痛みを伴うので好みは分かれそうだが、私は好きだ。(池辺麻子)
ヒミズ
監督 :園子温
キャスト:
染谷将太 二階堂ふみ
渡辺 哲 吹越 満 神楽坂 恵 光石 研 渡辺真起子 黒沢あすか でんでん 村上 淳
窪塚洋介/吉高由里子/西島隆弘(AAA)/鈴木 杏
2012年1月14日(土)新宿バルト9、シネクイント他全国ロードショー
製作・配給:ギャガ
ⓒ2011「ヒミズ」フィルムパートナーズ
公式サイト http://himizu.gaga.ne.jp/
【関連リンク】
・ヒミズ レビュー(内海 陽子)
僕も好きだ!