『ドラキュラZERO』映画レビュー

(C)Universal Pictures
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『ドラキュラZERO』は、ルーク・エヴァンスの『NO ONE LIVES ノー・ワン・リヴズ』に続く、二回目の主演作である。「ルーク・ウェバンス? 誰それ?」っていう人がほとんどだと思うけれど、美しさに実直さと渋みが加わった個性は、映画界数多い俳優の中でも滅多にないもの。

個人的には『インモータルズ -神々の戦い-』のときから、気になっていた。イギリスミュージカル界出身で、『タイタンの戦い』、『三銃士』、『ワイルド・スピード EURO MISSION』、『ホビット 決戦のゆくえ』などの大作に出演。今後も『The Crow』に主演が決まっている。ぜひ、今からチェックしておいて欲しい。

『ドラキュラZERO』は、ヴラド(ルーク・エヴァンス)が、ドラキュラになる過程を描いている。14世紀、トランシルバニア王国は、オスマン・トルコに服従し、若者を差し出していた。王子のヴラドも同じく幼いころにオスマン・トルコに送られ、過酷な状況を生き抜いてきた。成長したヴラドは、無慈悲な行いを繰り返し、串刺し王と呼ばれた。その後国に戻り、王となった彼は安定した国政で国民に慕われるようになる。

ところが、ある日、オスマントルコの使者が現れ、再び王子を含めた少年1000人を差し出すことを要求する。さもなければ、強大なトルコ軍が、トランシルヴァニアの小さな王国を蹂躙するのは確実。ヴラドは家族と国を守るため、自らを闇の力に投げ出す決断をする。

他人の血を欲する、モダンでスタイリッシュな姿のドラキュラ伯爵のイメージはない。ヴラドを信頼する家族と国民の期待を裏切らないために、完璧には程遠いけれど最善を尽くす姿がある。不器用でも泥臭く戦うしかない。強いけれど、戦い方は上手ではない。許されないようなことにも手を染める。さもなければ負けて家族も国も失ってしまうからだ。

一方、ドミニク・クーパー演じるオスマン帝国皇帝メフメト2世は、当時の最強国のトップなだけあって、やり方が巧妙だ。闇の力を恐れないだけでなく、戦い方も知っている。ただ、相手が捨て身でやってきたら、勝負は紙一重。勝負の行方が危うい分、見ているほうも最後まで息を抜けない。

監督のゲイリー・ショアはコマーシャル出身で、『ドラキュラZERO』が初監督作品。ルーク・エヴァンス、ドミニク・クーパーの二人とともに、今後のハリウッド映画を担う存在の一人にになっていくのではないだろうか。

(オライカート昌子)

ドラキュラZERO
2014年10月31日(金) 全国ロードショ―
ドラキュラZERO 公式サイト http://dracula-zero.jp/

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