やがて哀しき復讐者の画像
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3つの刺激・感/ニュー香港ノワール・フェスとして8月11日より一挙公開される3作品。香港映画界3巨匠がリレー演出した『強奪トライアングル』、刑事たちの心情にフォーカスした正義と悪のクロスワード『コンシェンス/裏切りの炎』。そしてもう一作が、ご紹介する『やがて哀しき復讐者』です。

本作はストーリーが分りやすく、かつ現代の日本視点でみても違和感のない作風が気に入りました。

悪い奴に決まっている「大手不動産会社社長」は、金儲けのためなら手段を選ばない男。彼(ウォン)は、ある村の再開発事業に注力するも住民の反対にてこずっていました。彼には亡き前妻との間に生まれた2人の子連れで再婚した妻との生活もタイトロープゆらゆら状態で、長女デイジーは脱法ドラッグにハマり、日々キまってしまっているデイジーの監視は秘書任せ……。

ある日、ウォンの携帯に誘拐されたデイジーの動画が送信されてきます。通報したら殺害されるという内容でしたが、ウォンはデイジーの自作自演だと決め付けながらも身代金取引現場に向かうのです。道路の渋滞に巻き込まれた瞬間にバイク男に身代金を奪われるというドジを踏み、犯人を捜すために、ウォンの腹心前科があるために世間からハブられているチョウと独自に調査に乗り出します。そしてギャンブルの肩代わりにデイジーの時計を持っていた男を見つけ出しデイジーの居場所をつきとめます。チュウからの連絡を受けたウォンは、向かった現場で遺体となったデイジーを見つめるのでした。ウォンは周囲には「デイジーはアメリカに行った」とウソをつき、自らの手で犯人への復讐を誓うので す。

村の立ち退き問題で死者がでるなどビジネスは泥沼化し家庭は崩壊……。そんな中、ついに衝撃的な真実にたどり着くのです。

日本の犯罪サスペンス・ドラマでもここまでのレベルの作品にはなかなかお目にかかれません。妙に身近に感じられる恐ろしき現代的サスペンスな一篇。

(中野豊)

■2011年 中国=香港映画/上映時間:97分/製作:ジョニー・トー/監督:ロー・ウィンキョン/出演:アンソニー・ウォン、リッチー・レン、ジャニス・マン、マギー・チョン、キャンディ・ロー

オフィシャルサイト(香港版):http://www.mediaasia.com/punished/