おおらかなレトロ感がたまらない、全米年間ぶっちぎりナンバーワンのヒーロー映画
映画界で2014年を振り返るとき、全米では間違いなく『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の年であり、主演のクリス・プラットの年だったといわれるはずだ。 2014年の全米年間興行収入ランキングで、長いこと1位に君臨していたのは『レゴムービー』だった。『キャプテンアメリカ/ウィンターソルジャー』に抜かれたあと、ほどなくして、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』が圧倒的なパワーで一位を奪取。2014年9月現在、いまだに記録を伸ばしている最中である。
クリス・プラットは、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』で、主演のピーター・クイル/スターロードを演じているだけでなく、『レゴムービー』でも主演のエメットの声を担当していた。つまり、2014年全米1位作品のほとんどが、クリス・プラットの映画ということになる。
クリス・ブラッドは、『マネーボール』で、再起を図るベテラン野球選手を演じていた。決して大物スターだったわけではないけれど、この一年で驚くほどの飛躍を成し遂げた。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』、『レゴムービー』の全米での大成功は、クリス・プラットの存在もあったと思う。野性味あふれる新鮮さとまっすぐな個性が、作品に力を与えている。
『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』は、マーベルコミックス原作の、アメコミヒーロー映画の中でも後発組であり、今までとは違うオフビートなユニークさが魅力だ。『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 』のメンバーは、正義の味方というよりは、刑務所でたまたま一緒に戦うことになった、はぐれ者集団から成り立っている。
緑の皮膚の女性暗殺者、遺伝子操作でアライグマの姿にさせられた戦術の天才、樹木姿のヒューマイノイド、復讐に燃える強靭な肉体を誇る男、そしてクリス・プラット演じるピーター・クイル。彼は子供だった1980年代に地球から連れ去られ、現在は宇宙のトレジャーハンターとして活躍中だ。
ピーター・クイルは、死の床の母親からもらった70年代のヒット曲満載のカセットテープを、ウォークマンで聴きながら、宇宙で暴れまくる。だから映画も懐メロとともに描かれ、極彩色の舞台とともに、レトロな空気をかもし出している。70年代に音楽を聴き、SF映画に鮮烈な衝撃を受けた年代には、心地よさがたまらないとだろう。そして、それ以降の世代には、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の時代錯誤的印象がむしろ斬新に感じられるはずだ。心に爽やかな風が吹き抜けるようなこのアメコミ映画の、おおらかなテイストをぜひ堪能して欲しい。 (オライカート昌子)
2014年9月13日(土)全国公開
公式サイト http://studio.marvel-japan.com/blog/movie/category/gog