スプリング・ブレイカーとは、春休みのこと。アメリカでは大学生が春休みにハメを外す文化が一般的で、水着やビキニの売上が上がるらしい。そんなスプリング・ブレイクを題材にした映画が、『スプリン・ブレイカーズ』だ。
なんとしてでも、スプリング・ブレイクツアーに行きたいけど、金がない女子大生たちが、禁断の手法で金を得る。行った先では、青春を謳歌するまもなく、成り行きで怪しい方角へと流転していく。そんな映画を作り上げたのは、熱狂的なファンが多いハーモニー・コリン監督だ。
ティーンに圧倒的な人気を誇るアイドルスターの、ヴァネッサ・ハジェンズ、セレーナ・ゴメスなどを起用。ビキニ姿だけでなく、プロ根性を剥き出しにさせた。彼女たちのファンの子どもたちには見せたくないし、理解されることもないほどの熱演を引き出した。
リアルなのだけど、ファンタジックで爽快感すらあるのは、女子大生たちが、悪びれることもなく、軽やかかつ、したたかに一線を越え、堕ちていくからだと思う。
重苦しさや、悩んだりすることは、彼女たちには無縁。あくまでも楽しくエキサイティングな遊びだから、どこまでも行ってしまう。善と悪の境界は、曖昧さを含んで、飛び越えるように招いているようだ。
青春なら、よくあること。なわけはない。でも、淡く共感させられてしまうのは、青春(思春期)時期の、定まったものがない危うい感じの記憶を私が持っているからだろうか。
中盤近くに、エイリアンという名前のジェームズ・フランコ演じる男が登場する。この男のいやに現実感のある様子には、驚かされた。チャーミングで、おかしくて、哀しくて、どの女の子よりセクシーだったりする。
ジェームズ・フランコさん、そんな姿を映画で演じて本当にいいんですか?と心配になるぐらいなのだ。 (オライカート昌子)
スプリング・ブレイカーズ
2012年 アメリカ映画/93分/監督:ハーモニー・コリン/出演:ジェームズ・フランコ(エイリアン)、ヴァネッサ・ハジェンズ(キャンディ)、セレーナ・ゴメス(フェイス)、
アシュレイ・ベンソン(ブリット)、レイチェル・コリン(コティ)他/配給:トランスフォーマー
シネマライズ他、全国上映中!
公式サイト http://www.springbreakers.jp/