映画『華麗なるギャツビー(2013)』レビュー

アメリカ最高峰の小説と言われる、『華麗なるギャツビー』を再映画化。『ムーラン・ルージュ』、『オーストラリア』のバズ・ラーマン監督が、レオナルド・ディカプリオをジェイ・ギャツビー役に起用し、文芸作品には珍しい3Dの映像で艶やかできらびやかな作品を作り上げた。

2013年版『華麗なるギャツビー』には目立つ点がたくさんあるものの、音楽にヒップホップを使っているところが、特に印象的だ。1920年代の喧騒のジャズエイジ(原作を書いたF・フィッツジェラルドが名付けたことば)と、現代を重ね合わせる意図も感じさせる。

『華麗なるギャツビー』の舞台、1920年代は、華麗かつ狂乱時代だった。2つの世界大戦に挟まれた、ロストジェネレーションの世代。禁酒法が施行され、それでも酒を飲む人が後を絶たず、ピューリタニズムから脱皮したフラッパーが世にのさばる。

原作の『華麗なるギャツビー』は、絢爛さの裏で、いつの世でも通用する「一途でピュアな、人の思い」を描いている。華麗さと、不器用で朴訥な想い、その2つの世界観の綱引きはひとつの見どころだろう。

(C) 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
(C) 2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.
狂乱の時代と、純粋な想い。バズ・ラーマン版の『華麗なるギャツビー』で、私達の脳裏に強烈に刻み込まれれるのは、派手な狂乱の方だ。ピュアな想いは、その背後でほのかに香り立つ。

それは、ギャツビーにレオナルド・ディカプリオを起用した点から、規定の路線だったのだろうか。レオには一途な思いはあまり似合わないのかも。ギャツビーを見守るニック・キャラェイ(トビー・マグワイア)の方がよっぽど一途だよ、と言いたくなる。

ひときわ男らしく、無粋な存在感を主張しているのは、デイジー(キャリー・マリガン)の夫トム・ブキャナンを演じる、ジョエル・エドガートン。素晴らしい俳優なのに、日本ではあまり公開作がない。この映画では、まさに「華麗なるブキャナン」と言える出来なので、今後日本でも彼の出演作がたくさん見れることを期待したい。(オライカート昌子)

華麗なるギャツビー(2013)
2013年6月14日(金)丸の内ピカデリー他、全国ロードショー 2D/3D同時公開
公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/thegreatgatsby/