『エディントンへようこそ』解説・あらすじ
『エディントンへようこそ』とは
2018年の『ヘレディタリー/継承』で度肝を抜き、続く『ミッドサマー』で魅了、『ポーはおそれている』で、独自の路線を発展させたアリ・アスター監督の新章が『エディントンへようこそ』だ。
保安官ジョーをホアキン・フェニックス、市長テッドをペドロ・パスカル、ジョーの妻ルイーズをエマ・ストーン、カルト集団の教祖ヴァーノンをオースティン・バトラーがそれぞれ演じた。2025年・第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。
『エディントンへようこそ』あらすじ

舞台は2020年、ニューメキシコ州の小さな町、エディントン。コロナ禍で町はロックダウンされている。文字通りのマスク警察も登場。そんななか、保安官ジョー(ホアキン・フェニックス)は、野心家の市長テッド(ペドロ・パスカル)と“マスクをするしない”で対抗。ついに市長選に立候補することを表明。そのさなか、街を騒がす事態が勃発。ジョーはどう対処していくのか。
『エディントンへようこそ』映画レビュー

過剰なほどきっちり作られていて、きっちりが爆発的な衝撃で急速変化していく。アリ・アスター監督作品らしさは、『エディントンへようこそ』でも健在だ。細かな設計と絵作りが、日本人の気質にあっているのだろう。アリ・アスター監督作品は、A24の作品群の中でも日本において、特別な地位にある。
ニューメキシコ州の町、エディントンは広漠の中の箱庭のようにも見える。小さくひなびた町だ。2020年、ロックダウンされ、ソーシャルディスタンスのような耳慣れないことばが、一般化された時代、保安官ジョー・クロス(ホアキン・フェニックス)は、喘息があるため、みんなのようにマスクをつけることができない。

市長テッド・ガルシア(ペドロ・パスカル)は、IT企業誘致を誘致しようとしていた。市長とジョーは、マスク問題で対立。以前の街を取り戻したいジョーは、市長選にチャレンジしようとする。
それが呼び水になったかのように、小さな町を騒動が取り巻き始め、その勢いはとめどなく広がっていく。スムースでいてよどみなく。前作『ポーはおそれている』のように寄り道もしないので、心を引き付ける力は揺るがない。ホアキン・フェニックスの技巧を凝らした役作りは、『エディントンへようこそ』では衝撃的で強力だ。
散りばめられた膨大な陰謀論的ワードは映画の馬力を一気に高め、知らなかった人は驚きをくらわされるだろう。今までのアリ・アスター作品が個人的なものや家族的なものが中心に描かれてきたのに比べ、『エディントンへようこそ』は歴史的地理的心理的な幅が広い。暴力アクションの量も半端なく、それでもオチには、アリ・アスター監督の一番描きたいことが残っているところに、彼のしたたかさが見えた。
『エディントンへようこそ』
監督・脚本:アリ・アスター
出演:ホアキン・フェニックス、ペドロ・パスカル、エマ・ストーン、オースティン・バトラー、ルーク・グライムス、ディードル・オコンネル、マイケル・ウォード配給:ハピネットファントム・スタジオ原題:EDDINGTON©2025 Joe Cross For Mayor Rights LLC. All Rights Reserved.
公式HP:https://a24jp.com/films/eddington/ 公式twitter:https://x.com/A24HPS#エディントンへようこそ|2025年|アメリカ映画|PG12|148分
2025年12月12日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開



