『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』映画レビュー
C)2016 Marvel

ならず者集団、大きな犠牲を乗り越え、はるかな高みへ 『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』映画レビュー

マーベルヒーローには変わったやつらがたくさんいる。そんな近年のマーベル作品の中でも特に異色だったのが『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』の面々だ。

木(グルート/ヴィン・ディーゼル)がいたり、遺伝子改造アライグマ(ロケット/ブラッドリー・クーパー)や緑の女性暗殺者(ガモーラ/ゾーイ・サルダナ)、赤い巨漢(トラックス/デイヴ・バウティスタ)とウォークマンを大切にして宇宙で70年代ポップスをバックミュージックで流しながら戦う自称スターロード(ピータークイル/クリス・プラット)。もしかしたら本物の宇宙にも、そんなとんでもない存在がひしめきあっているのかもしれない。

イケてて雑然として暴言吐き放題でお洒落な闘いは、心を熱くしてくれた。びっくりしたし面白かった。だけど、上には上があることを証明してくれたのが、2作目の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』だ。

一作目は、普通のアメコミヒーローの定型を踏襲しているし、少しまじめ。お上品だし大人しい。言わば、ヒーローもの的な、ありきたり作品とも言える。二作目の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・リミックス』は、枠を大きくはみ出ている。遊び心溢れた並外れて独自色の強い作品だ。別の言い方をするなら、「監督、自由にやり過ぎだよ」

まずオープニングがニクイ。木=グルートは、生まれ変わったばかりで、今は、愛くるしさMAXのいたずら好きの小枝だ。電池(!)の護衛を仕ったガーディアンズが、狙う大型魚型宇宙人と戦いの真っ最中に、小枝はエレクトリック・ライト・オーケストラの『ミスターブルースカイ』を流して踊りまくり。

戦っている連中は完全に背景となっている。「グルート、邪魔だよ!」と声が飛び交ったり、グルートが本当に危険な場所に踊りながら入ってきたりすると、戦いながら抱っこしてあげたり。挙句の果てには、守っているはずの”電池”を盗んで大騒動になる。ちなみに盗んだのは別のガーディアンだ。誰なのかは想像つくと思う。

クロージングもまたクドイ。エンドロールにおまけシーンが入るのはマーベル映画のお約束。だが、一つだけじゃない。二つだけでもない。いくつもいくつも入るのだ。そのたびに頬がゆるむ。まだ映画が終わって欲しくない気分につけこまれている。

そんなオープニングとクロージングに挟まれた本編がつまらないわけがない。電池を盗んでしまったため、ゴールドカラー惑星ソヴリンの高飛車軍団に追いかけられてしまう。助けに現れたのは、人間にしては強すぎる男。どうやら彼はスターロードの本当のパパらしい。パパの話を聞くために、スターロード、ガモーラたちはパパの住むエゴの星へ向かう。どう見たって話も星も怪しいのだが、徐々にスターロードはパパを受け入れる方向へ。

残酷な場面もあるし、厳しさもある。笑いの中に涙もある。かっこよさの量も多め。今回クールガイ的な役目と泣ける話を担当したのは、前作ではチョイ悪のヨンドゥー(マイケル・ルーカー)。ピカ一のキュートさで作品を彩ったのは、ベイビーグルート。今回はこの二人がほぼストーリーを持っていってしまった。

こんなノリノリのやり過ぎ作品ができてしまったのは、去年全米で大ヒットしたマーベル作品『デッドプール』の影響もあるのではないかと思うのは私だけかな。

オライカート昌子

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス 作品情報

監督:ジェームズ・ガン 製作:ケヴィン・ファイギ 出演:クリス・プラット、ゾーイ・サルダナ、デイヴ・バウティスタ 他
日本公開:2017 年 5 月 12 日 (金)
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©Marvel Studios 2017
公式サイト http://marvel.disney.co.jp/

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス あらすじ

 幼いときにター・ロードことピーター・クイルを地球から誘拐したのは、宇宙海賊ラヴェジャーズ率いるヨンドゥだった。ヨンドゥに育てられたピータ・クイルは、刑務所で木(グルート/ヴィン・ディーゼル)、遺伝子改造アライグマ(ロケット/ブラッドリー・クーパー)、緑の女性暗殺者(ガモーラ/ゾーイ・サルダナ)、赤い巨漢(トラックス/デイヴ・バウティスタ)と出会い、宇宙の危機を救い、ガーディアン・ギャラクシー(宇宙の守護者)となる。今回、金の惑星ソヴリンの指導者アイーシャの依頼で電池を守る依頼を受けたが、毒舌アライグマ“ロケット”が電池を盗み出したことで、アイーシャの怒りを買うことに。艦隊の総攻撃を受けてピーターの宇宙船ミラノ号は致命的な深手を負ってしまう。そんなガーディアンズの危機を救ったのは、“ピーターの父親”と名乗る男エゴだった。ガモーラたち仲間の心配をよそに、エゴを信頼し始めるピーター。果たしてエゴは本当の父親なのか。