
ホラー映画も、やり尽くした感があって、新しい恐怖(ホラー)はもうでてこないと思い込んでいた。それは早とちりだったね。
『SKINAMARINK/スキナマリンク』の恐怖は、作り物なのに作り物ではない。自分の中にある悪夢の恐怖やイメージや記憶が投影され、それが100分間ドッと吹き出し続ける。ホラーとアートの融合もある。体験するなら、最も怖いホラーとして記憶に残るかもしれない。ただし体験の壁は高いので注意が必要だ。
真夜中に目が覚めた2人の子ども、ケヴィンとケイリーが巻き込まれていく世界を描いていく。家の中の様子が少しづつ姿を変え、消えていく。何が起きているのか。起きているのは本当なのか。不条理で意味が分からない。不安が増大していくだろう。
『SKINAMARINK/スキナマリンク』のカイル・エドワード・ボール監督はこの映画で長編デビューを飾ったが、それ以前に、人々の悪夢を再現した短編映像をYouTube チャンネルに投稿し、新鋭の映像作家として注目を集めていた。
『SKINAMARINK/スキナマリンク』は、製作費1万5000ドルの低予算映画。北米692館で公開され、最終興行収入が約200万ドルになるヒットを記録した。「2023年のベストホラー映画ランキング」にローリングストーンズ紙をはじめ多くの海外媒体がを選出している。
ネットでは賛否両論だったというけれど通常の映画体験とは質が違う。そこは覚悟して観た方がいい。
考察も、自分の幼少期の体験や映画体験によって変わるだろう。わたしは『トイストーリー』の裏面ではないかと考えた。実際に同じおもちゃがでてくる。童謡の「おもちゃのチャチャチャ」も思い出した。ただそんな可愛いものではない。延々と続く暗い画面には不安と不快がある。
ちなみに英語圏の童謡に「スキダマリンク」という歌がある。カナダだと「スキナマリンク」になる。歌のタイトルに意味はなく、このタイトルとアイラブユーのみが歌詞になっている。
SKINAMARINK/スキナマリンク
2025年2月21日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷・新宿シネマカリテ・池袋HUMAXシネマズほか全国ロードショー
配給:ショウゲート
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監督・脚本:カイル・エドワード・ボール出演:ルーカス・ポール/ダリ・ローズ・テトロー2022年/カナダ/英語/100分/シネマスコープ/カラー/5.1ch/原題:SKINAMARINK日本語字幕:高橋彩