猿の惑星 創世記 ジェネシス
(c) 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation
猿(エイプ)の演技とストーリーが圧巻。感情を揺さぶられる必見作

今度の『猿の惑星』は、かなり評判がいいらしいということも、世界中でヒットをしているのも知っていたが、実際に見てみると、期待を上回る出来だった。いまだに興奮冷めやらぬほどだ。

何が凄いって、まず、猿たちの演技。絶滅が懸念される動物保護のため、猿たち(実際には、チンパンジーや、オラウータン、ゴリラなどの類人猿)は、俳優の演技をキャプチャーしたCGで作り上げられている。最新鋭の撮影技術と、人間の演技がコラボして、今までは不可能だった映像が作り上げられている。それが感情を揺さぶるのだ。

主役は、ジェームズ・フランコ演じるウィルではなく、アンディ・サーキス演じるチンパンジーのシーザー。名演技どころではない。すっかり感情移入させられる魅惑的な表情を見せる。この演技ひとつでも見る価値があるというものだ。

猿の惑星 創世記 ジェネシスの画像
(c) 2011 Twentieth Century Fox Film Corporation
ストーリーはコンパクトにまとまっていて無駄がない。できればもう少しみていたかったなと後を引くぐらいがちょうどいい。ストーリーが短い理由は、人間はしゃべるが、主役側の猿たちがしゃべらないのもひとつの理由だ。しゃべらずに見せる。だから演技が引き立つ。

監督のルパート・ワイアットは、今回がハリウッドメジャー作品デビュー。才能を見逃さない製作陣も凄いし、期待に応えて結果を残す新鋭監督も素晴らしい。映画に奥行きがあるのは、単に見て楽しい作品を作るだけでなく、『猿の惑星』シリーズの伝統でもある問題意識をきちんと形にしているところにある。だから、見終わったときに残るのは、爽快感だけではない。頬にビンタされたような衝撃や複雑な感情だ。この作品の主役は猿だとしても、はっきりと描かれているのは、私たち人間の真実の姿であるところにその理由がある。(オライカート昌子

猿の惑星:創世記 (ジェネシス)
2011年 アメリカ映画/1時間46分/監督:ルパート・ワイアット/出演: ジェームズ・フランコ、フリーダ・ピント、ジョン・リスゴー、ブライアン・コックス、トム・フェルトン、アンディ・サーキスほか、/配給:20世紀フォックス映画

2011年10月7日(金)TOHOシネマズ 日劇他 全国ロードショー
オフィシャルサイト http://www.foxmovies.jp/saruwaku/