・一文無しの学生の行く末
時枝修は都内の大学生。ある日大学へいくとIDカー ドがエラーになり教室に入れない。理由は授業料未納で除籍なっていました。今度は、住んでいるレンタルハウスに男がやってきて「料金未納により3日以内に ここを出ていってください」ということでしたが、あまくみていました。3日後部屋の鍵が変えられていたのです。勿論荷物も部屋の中で、ベランダに干してい たビンテージのジーンズだけゲット。
学費もレンタルルール料金も父が払っていたので、親父の家へ行ってみると、フィリピン女性とトンズラしていました。
・危険なバイトの真実、華やかなホストの裏側
多少残った金でネットカフェに入り浸るようになります。パソコンで時給のよさそうなバイトを探しましたが、いかがわしい仕事ばかり、そんな中治験のバイトは実入りがよかった。
金が入ったので新宿をぶらついていると今時の女に逆ナンされたので着いていきました。たかりだとは思わずにツキが回ってきたかなと勘違い。酔いが覚めるとホストクラブの中で泥酔状態、有り金は使い果たし、結局そのホストクラブで働くことに。
ある時、看護師の女性が自分を指名してくれるようになったのです。彼女の給与からは考えられない金額を店におとした。そして少しずつでも確実に彼女も堕ちて行く……。
同僚の金の持ち逃げ事件で俺は地方に逃げたが結局見つかり、ボロ雑巾のように痛めつけられ河川敷に放りだされました。自分は人として終わった。
・ホームレス
自 分はホームレスに救われて少しずつコミュニティ溶け込み交流できるようになってきました。魚のような目をした主人公の瞳が輝いてくるのが映画から読み取れ ます。幸せというのは何だろうか?ノンポリ青年のころとホームレス生活で、映画のトーンがガラっと変わります。ホームレスの彼らにも人生の信じられないよ うなターニングポイントがあったのです……。
格差社会のゆがみを見事に描いた構成です。
監 督は『半落ち』、『日輪の遺産』、『ツレがうつになりまして』の名匠佐々部清で、私世代はなんと言っても吉田拓郎の曲が全編を包んだ『結婚しようよ』に驚 き、ヒットも微妙な本作をよくつくってくれた!と感動ものでした。監督は演技指導の時に拓郎の曲を皆に聞かせたと語っていました。
さて、本作『東京難民』ですが、ちょっとしたボタンの掛け違いで誰にでも訪れる現代日本のリアルな姿を、社会派エンタテインメントとして、そして現実的ホラーとして私たちを震え上がらせること必至です。政治家・老若男女必見 ただしR15+ です。
(中野豊)
東京難民
2013年 日本映画/上映時間:130分/監督:佐々部清/脚本:青島武/原作:福澤徹三/出演:中村蒼、大塚千弘、青柳翔、山本美月、中尾明慶、井上順
オフィシャルサイト:http://tokyo-nanmin.com/