『エリック・クラプトン アクロス24ナイツ』の魅力は  パーカッション奏者レイ・クーパーにあり!

海外アーティスト初の日本武道館100回公演を記録した

先の来日公演(4月15〜24日)でもファンをヤキモキとさせたのは、

名曲「いとしのレイラ」のプレイ・バージョンであったという。

史上最高のギタリストとも称されるロック・レジェンド、

エリック・クラプトン(1945年生まれ)は、

本拠地とするロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで、

1990年1月18日から2月10日まで18回のライヴを行い、

4人編成からホーン・セクションの入った13人編成や

オーケストラとの共演まで、

日ごと様々なスタイルが繰り広げられる伝説的なものとなった。

さらに翌91年の2月5日からスタートした同会場での公演では、

4人編成、ホーン無しの9人編成、彼の敬愛するアルバート・コリンズや

バディ・ガイらをゲストに招いたブルース・ナイト、

そしてマイケル・ケイメン指揮のナショナル・フィルハーモニー・

オーケストラを配した夜という3月9日のフィナーレまで

24回もの連続公演を成功させた。

この全42回の公演の多くはフィルムで記録されていたが、

30数年を経た今、ベスト・パフォーマンスを選び抜いて編集! さらに

4Kで作り上げたのが『エリック・クラプトン アクロス24ナイツ』である。

気になる楽曲リストはこうだ。

1 前奏

2 Crossroads クロスロード

3 I Shot The Sheriff アイ・ショット・ザ・シェリフ

4 White Room ホワイト・ルーム

5 Knocking on Heaven’s Door 天国への扉

6 Lay Down Sally レイ・ダウン・サリー

7 All Your Love オール・ユア・ラヴ

8 Black Cat Bone ブラック・キャット・ボーン

9 My Time After A While マイ・タイム・アフター・ア・ホワイル

10 Edge of Darkness エッジ・オブ・ダークネス

11 Holy Mother ホリー・マザー

12 Tearing Us Apart ティアリング・アス・アパート

13 Cocaine コカイン

14 Wonderful Tonight ワンダフル・トゥナイト

15 A Remark You made ア・リマーク・ユー・メイド

16 Layla いとしのレイラ

17 Sunshine of Your Love サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ


クラプトンに詳しいギタリストの青山陽一さんは、

映画の見どころをこう語る。

「まずインパクト充分なのがオーケストラ・パートだ。

プロローグからなだれこむ『クロスロード』からして、

ロバート・ジョンソンのパフォーマンスが録音されてから

40数年の時を経て、これがオーケストラと共に演奏されることになるとは、

作者本人も思わなかったのではないだろうか。

エリックがリチャード・マニュエルに捧げた

『ホリー・マザー』のハートフルな名演も印象的。

言わずと知れた『いとしのレイラ』本編も後半のコーダ・パートでは

オーケストラが大フィーチャーされたスペシャル・ヴァージョンだ。

他のセットではホーン・セクションと共に演奏される

『コケイン(コカイン)』はかなりレアだし、フィル・コリンズが

ドラムを叩くパートではバンドメンバー全員でコーラス・マイクを囲む

ボブ・ディラン作『天国への扉』ような、

今ではまず見られないような場面もある。

65年の名盤『ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ・

ウィズ・エリック・クラプトン』の冒頭を飾ったオーティス・ラッシュ作

『オール・ユア・ラヴ』がエリックのヴォーカルで聴けるのも嬉しいシーン。

またアルバート・コリンズとバディ・ガイをそれぞれフィーチャーする

『ブラック・キャット・ボーン』と『マイ・タイム・アフター・ア・ホワイル』

で、エリックが敬愛するブルースマン達のパフォーマンスが

しっかり記録されているのも意義深いことだ。


そして特筆すべきは以前の映像版とは段違いの映像クオリティ。

より臨場感溢れる仕上がりになっているのは言うまでもない」

さて、クラプトンに疎いワタシが終始身を乗り出した

映画『エリック・クラプトン アクロス24ナイツ』の魅力は

パーカッション奏者レイ・クーパーにあり! となる。

汗ほとばしるベビー・フェイス・ドラマーのフィル・コリンズ、

マイケル・ケイメンのエネルギーむき出しの指揮など、

特筆となるプレイ・シーンは多多あるが

これまた本気のレイ・クーパーには敵わない。

レイ・クーパーはエンド・クレジットで初めて知った。

丸メガネのスキンヘッド。

まず、タンバリンを叩く男、それがレイ・クーパーだ。

そして、「いとしのレイラ」から「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」へと

流れ続くダイナミズムに大きく息を飲む。

にわかものでも断言できる。

この映画を見終わって平常心で居られる奴とはそれっきりにしたほうがいい。

この映画には魂が宿っている。

(武茂孝志)

『エリック・クラプトン アクロス24ナイツ』

6/9(金)ヒューマントラストシネマ渋谷・アップリンク吉祥寺

6/16(金)角川シネマ有楽町ほかにて全国順次公開

監督:デヴィッド・バーナード

音楽のライヴ映像を得意とし、このジャンルにおけるイギリスの第一人者。

『エリック・クラプトン/ロックダウン・セッションズ』、レディオヘッド『イン・レインボウ』、ビヨーク『atロイヤル・オペラ・ハウス』、ペット・ショップ・ボーイズ『インナー・サンクタム』、アリス・クーパー『ブルタリー・ライブ』、ゴリラズ『ライブ・イン・マンチェスター』(グラミー賞ノミネート)、他に、ニック・ケイヴ、ダイアナ・クラール、ユーリズミックス、ニュー・オーダー、ワン・ダイレクション、ポール・ウェラー、ルチアーノ・パヴァロッティ、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、スパイス・ガールズ、トラヴィス、ハリー・コック・ジュニア、パルプ、ダイドなど数多くの名作ライヴ映像を作ってきた。2022年には宇多田ヒカルのHikaru Utada Live Sessions from Air Studiosを手がけている。

プロデューサー:ピーター・ウォースリー

編集:マシュー・ロングフェロー

音響プロデューサー&ミキサー:サイモン・クリミー

スーパーバイジング・プロデユーサー:マーティン・デイクル

エグゼクティブ・プロデューサー:マイケル・イートン

出演:エリック・クラプトン、マイケル・ケイメン、フィル・コリンズ、

アルバート・コリンズ、バディ・ガイ、そしてレイ・クーパー! 他

原題:Eric Clapton – Across 24 Nights

2023年/115分/1.83:1/ドルビー・アトモス/イギリス/

字幕(歌詞全訳):小泉真祐

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宣伝 ブライトホース・フィルム

営業 トリプルアップ

配給 オンリー・ハーツ