ドキュメントかフィクションか?
この作品を「フィクメンタリー」と呼びましょう(笑)。

監督・脚本は『佐賀のがばいばあちゃん』を大ヒットさせ、日本中にブームを巻き起こした倉内均。原作は大宅壮一で、終戦当時の政治家、宮内庁関係者、元軍人などから収録した実話を編集した『日本のいちばん長い日』(1967年)のリメイクと言えますが、前作は三船敏郎、志村喬、笠智衆といったオールスターキャストの「東宝創立35周年」記念映画という大作でした。

本作は、文化人を出演されるという実験的試みがユニークです。演技なのか、大根なのかわからない、湯浅卓、田原総一郎、鳥越俊太郎、富野由悠季、島田雅彦など、その豪華な顔触れから醸し出される不可思議なリアリティは、単なる興味本位の域を優に越えた独特の映画的興奮として昇華され、画面から発散されています。親から子へと語られていくべき戦争の記憶。日本に無条件降伏を求める連合国のポツダム宣言、原爆の投下、玉音放送……、そして終戦。私たちがこの歴史を次の世代に伝えていくのです。
(中野豊)