『Fox Hunt フォックス・ハント』映画レビュー 公務員対優雅な悪の魅力

旅情アクション映画というジャンルがあると仮定してみよう。世界を股にかけてアクションしまくる映画だ。『007』シリーズも『ジェイソン・ボーン』シリーズも『ミッション:インポッシブル』シリーズも旅したような気分にさせてくれる。そもそも映画は、知らない世界を旅すること。アクション映画では場所が大きな要素となる。

『Fox Hunt フォックス・ハント』では、中国アクション映画が世界を舞台に進出した。3人の主人公グループは、狐狩り隊”と呼ばれる経済犯罪捜査のエリートチーム。7年越しで追っている巨額の金融詐欺事件の真犯人と対決する舞台はパリ。

パリに着いた当初は、のんびりとした旅の風情がある。チームを組むべきフランス人の警官は、正体がわからない。彼と絆を結ぶべく飲みに行く場面はゆったりとして楽しい。ところが間もなく、谷底を転げ落ちるような急展開。スピード感あふれたアクション全開映画となる。

フォックスハントチームの隊長イエ・ジュンと、目指す悪のターゲット、ダイ・イーチェンとの対決も見逃せない。隊長は、最初はいかにも公務員だ。他の二人の隊員との連携はスムースで、危機にぶち当たることも多いが、徐々に本領と底力発揮していく。対するダイには余裕と優雅さがある。トニー・レオンのような魅力的な俳優が魅惑と悪辣を兼ね備えた役を演じるとどうなるか想像がつくだろう。

『Fox Hunt フォックス・ハント』で見逃せないのは、敵の強さとカッコ良さだ。敵の車も鉄壁のように隙がない。普通の映画では、敵にモブ的小物感があることが多いけれど、そんなレベルとは無縁。激しさとスピード感に圧倒された。

それというのも、国際色豊かなスタッフキャストの存在がある。監督は、『ポリス・ストーリー/REBORN』のレオ・チャン。美術監督に『ベルリンファイル』のチョン・スア。アクション監督に『最後まで行く』のチェ・ドンホン。そしてカースタント監督に『TAXi』シリーズのダヴィッド・ジュリアン。オルガ・キュリレンコが弁護士役で出演していて、トニー・レオンとの取り合わせは濃密な質感がある。ところで、映画の最後のシーンについては、あえて言及しない。

(オライカート昌子)

Fox Hunt フォックス・ハント 
12月26日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー
© SHANGHAI FILM GROUP All Rights Reserved.
配給:ファインフィルムズ
監督:レオ・チャン
脚本:エリカ・シアホウ、レオ・チャン
美術監督:チョン・スア
アクション監督:チェ·ドンホン
カースタント監督:ダヴィッド・ジュリアン
出演:トニー・レオン、ドアン・イーホン、オルガ・キュリレンコ、オリヴィエ・ラブルダン、
エリカ・シアホウ、チャン・アオユエ

2025/中国/中国語・英語・フランス語/105分/カラー 映倫:G 
原題:猎狐行动 英題:FOX HUNT
公式HP:https://foxhunt-movie.com/   公式X:@foxhunt2025