『リトル・ワンダーズ』映画レビュー 魔法と森と冒険と

とんでもない子どもたちもいたもんだ! バイクを飛ばし、サングラスをかけ、それなりに強力なペイント弾と空気銃を持って、襲撃に出発していく。彼らは、“不死身のワニ団”だ。『リトル・ワンダーズ』の冒険の舞台は、アメリカ、ワイオミング州リボン。ワイルドかつ、のどかな田舎世界だ。

子どもたち対大人の闘争が、やがてスタートする。“不死身のワニ団”は、どのように結束し、どのように戦うのか、前半は、ゆっくり進むが、後半は危機から危機への連続で、心休まるときはない。

親が見ていないところでは、子どもは自由奔放だ。子どもだけの秘密の世界を持っていて、その秘密の世界を心ゆくまで楽しみたい。だけど、それに必要なものもある。テレビゲームもその一つ。

3人の子供たちは、テレビゲームで遊びたい。だけどテレビゲームで遊ぶために、ブルーベリーパイが必要になった。次に手にれなければならなくなったのが、卵一つ。そのための行動が、命がけの挑戦に変化する。出会う数々の危険と喜びは、予測不能のおもしろさで彩られる。

“不死身のワニ団”も素敵だし、対抗する大人たちも、一筋縄ではいかない面々だ。呪文を操る魔女とその仲間“魔法の剣一味”も登場。ちびっこ魔女の大活躍も見逃せない。

監督を務めたのは、ウェストン・ラズ―リ。今回が映画初挑戦。新進監督とは思えないほどの才能が、スクリーンにマジカルな魅惑をプラスする。その理由の一つが、16mmフィルムだ。妙に懐かしいレトロフューチャーの世界が繰り広げられている。

『リトルワンダーズ』は、第76回カンヌ国際映画祭でプレミア上映され、監督週間とカメラ・ドール部門に選出。第48回トロント国際映画祭でも。ミッドナイト・マッドネス部門のクロージング作品にも抜擢。シッチェス・カタロニア国際映画祭特別賞受賞/ワルシャワ国際映画祭フリースピリット賞受賞など。

多少の危険はものともせずに、何かを求めて一歩進めば、思いもよらない宝物を手に入れることもある。大冒険の後の余韻に酔いしれよう。

(オライカート昌子)

リトル・ワンダーズ
10月25日(金)より新宿武蔵野館ほか全国公開
© RILEY CAN YOU HEAR ME? LLC
配給:クロックワークス
脚本・監督・製作:ウェストン・ラズーリ
出演:リオ・ティプトン、チャールズ・ハルフォード、スカイラー・ピーターズ、フィービー・フェロ、ローレライ・モート、チャーリー・ストーバー
2023年|アメリカ|5.1ch|シネマスコープ|英語|114分|原題:RIDDLE OF FIRE|字幕翻訳:髙橋彩|配給:クロックワークス|PG12
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