『ジョン・ウィック:コンセクエンス』映画レビュー アクション革命の至福

期待した映画が期待通りだったら驚かない。期待外れということもよくある。それが、期待の何倍もの質で襲いかかってきたら、その衝撃の波に浸りきるしかない。『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は、まさにそんな映画だ。

作り手側は、『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は、アクション革命と言っているが、その通りだ。今までにないコンセプトのアクションが、今までにない高レベルで、繰り広げられる。

今までの『ジョン・ウィック』シリーズのみならず、その他のアクション映画のレベルもはるかに凌ぐ。まるで違う世界に入ってしまったかのようだ。アクションが好きでも好きでなくても、至福の時間を過ごせるだろう。

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』は、キアヌ・リーヴス主演。スタントマンとして活躍してきたチャド・スタエルスキ監督が、前3作に続いて務める。二人は全力を込めて、新たなアクション映画の次元に観客をワープさせてくれる。

ストーリーは、極めてシンプル。ジョン・ウィックが登場した、一作目に近い。『ジョン・ウィック:チャプター2』、『ジョン・ウィック パラベラム』の前2作は、どんどん世界を広げていって、このまま行くと、収拾がつかなくなるのではないかと思われた。その不安を払拭してくれたのは嬉しいところ。広がり過ぎた世界観を収拾する。そのためには、一つの目的しかない。報いをもたらすのだ。

コンチネンタルホテルという不殺の聖域ホテルで掟を破ったジョンは、粛清の包囲網から逃れたものの、妻との思い出の指輪を取り返すため、そして自由を得るために、砂漠で主席連合のメンバーの首長を手にかける。だが、主席連合に立ち向かったために、波紋が広がる。

主席連合の若き高官グラモン侯爵が、ニューヨークに現われ、ジョンを殺さなかったコンチネンタルホテルの支配人、ウィンストンへの罰として、ホテルを爆破。そして、ジョンのもとへ旧友である盲目の暗殺者ケインを向かわせる。

この盲目の暗殺者ケインを演じるのは、香港で抜群の存在感を放つドニー・イェン。また、大阪コンチネンタル支配人に真田広之が出演。この二人が、スクリーンを引き締め華やかさを与える。

『ジョン・ウィック』シリーズの不思議なところは、復讐という生臭さを感じさせる背景を持ちながら、ストイックで清廉な空気が漂うところ。闘う姿に、ひたむきさ、誠実、信念というスパイスが乗っていく。

スタントに人生をかけてきた監督と、アクションに優れた才能を持つキアヌという二人のコンビが織りなす、意思が伝わってくる。アクション革命の中身は、雑味がなく、優美だ。品格が漂う。というのも、それだけ映画のアクションを大切に純粋に扱っているからだ。
(オライカート昌子)

ジョン・ウィック:コンセクエンス
9月22日金曜全国公開
配給:ポニーキャニオン
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原題:John Wick: Chapter 4
監督:チャド・スタエルスキ
出演:キアヌ・リーブス ドニー・イェン ビル・スカルスガルド ローレンス・フィッシュバーン 真田広之 リナ・サワヤマ ほか
配給:ポニーキャニオン
原題:JOHN WICK:CHAPTER4(2023/アメリカ)