好評公開中のスター・トレック イントゥ・ダークネス。監督の J・J・エイブラムス監督と、キャスト3人が来日し、記者会見を行いました。今回来日したキャストは、船長役のクリス・パイン(カーク船長)、ザッカリー・クイント(スポック)、アリス・イブ(キャロル・マーカス)の三人です。その模様をレポートします。

・スター・トレックイントゥ・ダークネス映画レビュー

すべての観客を喜ばせることはできない

(c) 2012 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. STAR TREK and related marks and logos are trademarks of CBS Studios Inc.
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最初に記者会見に現れたのはJ・J・エイブラムス監督。挨拶の後、ファンの期待の高さから来るプレッシャーについて聞かれ、

「プレッシャーはすでに感じています。観客に気に入ってもらいたいというのはもちろんありますが、同時に一緒に仕事をしているチームのことを考えます。一緒に仕事をしているということは、家族と離れて仕事をしなくてはならない。そういう思いでみんな一所懸命に仕事をしている。そんな彼らが報われるような仕事をしたい、というのがあります。

また、すべての観客を喜ばせることはできない。というのが信条。スタートレックファンでなくても、映画ファン、全体に向けてこの映画を作っています。結果としてはものすごくいい反応を得ている。僕としてはとても嬉しいです。もし気に入ってくれない人がいたら、僕としてはごめんなさいというしかない。僕自身は、この作品を作るのは、感慨深く素晴らしい体験でした

以前の人種差別などをテーマをしたオリジナルなスタートレックシリーズと、現代のエンターテイメント性を取り入れたスタートレックをどう同化させたのですか?

まず僕はこどものころあまりスタートレックを見ていませんでした。何回か見てみようとしたのですが、ファンにはなりませんでした。この作品を手がけるようになって、初めて大ファンになっています。

ジーン・ロッデンベリーさんが作り上げた精神、キャラクターや状況、ファミリーや対立、人間性、自己犠牲、このようなものを全て包含していて、今日でも関係のある作品にしたい、これが私の一番思うところでした。

ですから、オリジナルのもの変えるというのではなく、現代のものにする、リアルにする、おもしろさやエモーショナルな部分をもっともっと足していくことを心がけました。昔から大ファンだったというお友達はたくさんいます。やはりオリジナルは変えたくない、だけど現代的なものにするということです。解像度は高くなっているし、ビジュアル的にも文化的にもユーモアも昔と今では違うので、そういうところを意識しながら、現代のものを作り上げました。

怖ろしいことを犠牲を払ってでも乗り越えるというストーリー

007現場全員のモチベーションを上げるために心がけていたことは?という質問に、「キャストはほんとうに素晴らしかった。頭がいいしユーモアのセンスがあるし、とても親しくなりましたし、お互いにインスパイアして最高の仕事をするように相互関係を作り上げました。素晴らしいチームワークだったのです。わたしはその一員になれた、一緒に仕事ができたことがとても嬉しかったですし、人間としても素晴らしい彼らと、親しい友人にもなれました」と答えていました。

現実の世界に対する批評がとても入っていたと思う、特にオバマ政権に対するものなどを感じましたが」という質問に、

「こういう作品の場合、いろいろな人がいろいろな感想を持ち、いろいろな意見を提示してくださる。それには感謝しております。SFの偉大なところは、様々なメタファーや寓話を読み込めること。メタファとして比喩的に出していくことが素晴らしい。

今回の作品も、ベネディクト・カンバーバッチ演じるジョンなどがいますが、いろいろシチュエーションに置き換えることができると思うのです。その一番中心にあるのは人間性であって、愛であって、自己犠牲であって、怖ろしいことをみんなでどうやって乗り越えていくのか。犠牲を払ってでも乗り越える、というストーリーであって、乗り越えることによって生き延びて、強く絆が結ばれるというものです。

いろいろな比喩を読み込めると思うんですが、この映画は、面白くて楽しくて3Dでイメージも素晴らしくて、ビジュアルエフェクトも最高である、そういう作品ですので、見ていない人も、ぜひ見ていただきたい、そういうふうに思います」と答えていました。

クリス・パインの最大の弱点はラーメンに対する愛

L06J・J・エイブラムス監督が一旦引き上げ、キャストたち三人、クリス・パイン、ザッカリー・クイント、紅一点のアリス・イブが登場しました。最初の質問は、「世界的な大ヒットの素直な感想は?」というもの。

クリス・パインは、「プロモーションのために自分が誇りに思える作品を携えて、世界中を自分の好きな人達と回ることができて光栄でもあり、とても嬉しいです。僕は元々は子供の頃からオリジナルのシリーズのファンではなかったのですが、この作品を通じてファンになりました。またシリーズの世界に、今までスタートレックを知らなかった人を招き入れ、その魅力を伝えることができることは素晴らしいことだと思います」と答えました

ザッカリー・クイントは、「ポップカルチャーにおいて豊かな長い歴史を持った作品に参加することができたことが嬉しいです。今回の作品は、新たな発想で再解釈され、クリエイティブなインスピレーションを個人的にも感じています。世界中を回っていろいろな人にお会いでき、文化の違った場所でも作品を紹介することができることを光栄に思います。

アリス:力をひとつにして何かをつくり上げることは、光栄なことです。6ヶ月間、心血を注いで作り上げました。それをこういう形で世界中の人々と分かち合えることは、俳優という仕事をしていてもあまり巡り合えないことです。またこの作品に参加できたことはとてもラッキーだと思います。またやりたいと思っています。

「自分以外の役で好きな役は?」と聞かれ、ザッカリー・クイントは、「一つのキャラを選ぶのは難しいです。この作品の素晴らしいところは群像劇であることで、それぞれのキャラクターが多様性を持ちユニーク。ジーン・ロッデンベリーが描いたのは、多様性を持ったキャラがコラボレーションし、それぞれの絆と人類のため、善のために全てのキャラクターが役割を果たしているところだからです」と答えていました。

クリス・パインは、「ザックが演じているスポックです。難しい役だと思います。葛藤が描かれ、情熱的で感情も愛も持っているけれど、それを全て抑えなくてはならない。苦労もするし大変な役だと思うのですが、ザックはそれを素晴らしく演じていました」と答えていました。

アリス・イブの答えは「スコッティです。スタートレックの世界観というのはとてもシリアスで宇宙や地球の滅亡のリスクなどが描かれることが多いのですが、わたしはコメディが大好きなのでスコッティが好きなのです。今回のスタートレック・イントゥ・ダークネスでは、スコッティがヒーローとして活躍する場面も出てくるんです」とのこと。

ネットでの質問は、「イントゥ・ダークネス」の日本でのコピーは、「人類最大の弱点は愛だ」なのですが、みなさんの最大の弱点、苦手なものは何ですか」というもの。

アリス・イブは。「自分の弱点を晒すのはあまりレディらしからぬことだと思いますが、わたしの場合も愛ですね。やはり人を愛している、恋している時というのは、それがモンスターのように襲い掛かってくるのです」

クリス・パインは「僕の場合も愛、それもラーメンに対する愛ですね。それと整理整頓です。いつも整理整頓をしていてそれをからかわれています」と答え、笑いを誘っていました。 

ザッカリー・クイントの答えは「僕の場合は、すぐに退屈してしまったり、気が散りやすいところですね。注意して集中し続けるのが難しいんです」というものでした。(文/取材 オライカート昌子)

スター・トレック イントゥ・ダークネス
オフィシャル・サイト
http://www.startrek-movie.jp/