日本では芦田愛菜ちゃんが登場することばかりが話題になっている気もするが、『パシフィック・リム』の見どころは、そんなものではない。巨大怪獣(劇中でもkaiju)と巨大ロボ(人型巨大兵器イェーガー)の激突、それと人類滅亡の危機が強い臨場感を持って描かれるところにある。
敵である怪獣は、とてつもなく強い。イエーガーが立ちふさがろうと、壁がそびえ立とうと、敗れようと、姿を変え何度でも立ち上がってくる。
そんな怪獣相手に人類はギリギリの瀬戸際まで追い詰められていく。敵が強ければ強いほど、映画は面白くなると信じている私には、とってもエキサイティングな展開だ。
怪獣は強いだけでなく、造形も魅力的。劇中には怪獣愛のオタク博士も登場する。その気持ちがわかるほどだ。怪獣と闘いつつ、その正体を暴くストーリーがとてもスリリング。
ギレルモ・デル・トロ監督は、異型でダークな性質なものを愛情を持って描くタイプなのだろう。今までもパンズ・ラビリンスやヘルボーイなどで魅力的なモンスターを登場させてきた。
対する人類側は、イェーガーが情けないことになってしまう。当初は軍の最新技術と予算に支えられ対kaiju最強兵器だったのに、怪獣に敗れることが増え、壁に最強兵器の座を渡すこととなり、ひっそりとレジスタンスとして活動することとなる。
壁建設作業員として従事していたかつての花型イェーガー操縦士、ローリーを呼び戻すのだが、その時点で残っていたイェーガーはたった4体。最強怪獣たちと戦うには、心もとない。
対戦アクションシーンの盛り上がりは最高潮。見ていてワクワクする熱いシーンが壮大にに繰り広げられる。
一見地味なキャスト陣も作品への貢献度は高く満足度は高い。主要キャストが全員、日本語をしゃべる(シーン)がある。それもハリウッド大作映画では初ではないだろうか。
(オライカート昌子)
パシフィック・リム
2013年 アメリカ映画/131分/監督: ギレルモ・デル・トロ/出演:チャーリー・ハナム(ローリー・ベケット)、イドリス・エルバ(スタッカー・ペントコスト)、菊地凛子(森マコ)、チャーリー・デイ(ニュートン・ガイズラー博士)、ロブ・カジンスキー(チャック・ハンセン)、マックス・マーティーニ(ハーク・ハンセン)、芦田愛菜(森マコ(幼少期))、ロン・パールマン(ハンニバル・チャウ)ほか/配給:ワーナー・ブラザース
2013年8月9日(金)より全国ロードショー
公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/pacificrim/