
近年の韓国映画では、実話にフィクションを織り込み、娯楽の快楽を追求する映画ジャンルが発達している。『1980 僕たちの光州事件』は、『ソウルの春(24)』の5か月後、『タクシー運転手 約束は海を越えて(18)』と同じ時代の光州の街が描かれているが、視点となるのは普通の家族。全く違うアプローチであり、強烈なインパクトが襲ってくる物語だ。
『1980 僕たちの光州事件』は、ある家族の幸せ過ぎる日常からスタート。少年チョルス(ソン・ミンジェ)の祖父が念願の中華料理店をオープンした。チョルスの祖父(カン・シニル)は、ユン・ハンギの「私は幸せです」を歌いながら、自慢のチャジャン麺(ジャージャー麺)を作る。チョルスの母(キム・ギュリ )は店の手伝いをにこやかにこなす。叔父(ペク・ソンヒョン)は、結婚を控えている。近所の人の祝福の中、店は大にぎわいだ。チョルスは隣人で幼馴染の大好きなヨンヒに夢中。ヨンヒの父は軍人で、チョルスの父の幼馴染でもある。
街では騒動が起きているらしい。学生たちは警察に催涙弾を打たれている。だが、家族には状況を把握している者も、気にしている者もいない。なごやかな日常が今後も続くと思っている。
笑いとのほほんとした空気が詰まった韓国映画のホームドラマは、いつでも心をあったかくしてくれる。そこに大きな渦が押し寄せてきたら、どうなってしまうのか。
渦は、しのびやかにチョルスの家族に入り込み、破壊の力を少しづつ浸透させ始める。あくまでも自然に。ああ、こういうことだったのか。見ている側は、真の光州事件を体験する。
『1980 僕たちの光州事件』の緻密に計算された細かい人間模様、最初と最後のコントラストの落差は、効果的で力強く、衝撃レベルとストーリーの説得力も高い。
カン・スンヨン監督は1995 年の映画『テロリスト 悲しき男に捧げる挽歌』で美術監督としてデビュー。その後『王の男』(06)、『江南ブルース(15)、『王の運命―歴史を変えた八日間―』(15)、『安市城 グレート・バトル』(18)など100万人以上を動員した数々の映画で美術監督を務め、美術監督として確固たる地位を築く。『1980 僕たちの光州事件』は長編映画初監督作品。
1980 僕たちの光州事件
2025年4月4日(金) 全国ロードショー!!
監督・脚本:カン・スンヨン
出演:カン・シニル、キム・ギュリ、ペク・ソンヒョン、ハン・スヨン、ソン・ミンジェ
2024 年/韓国/韓国語/99分/シネマスコープ/5.1ch/字幕翻訳:本田恵子/字幕監修:秋月望
原題:1980/【映倫:60556】【 G】/配給:クロックワークス
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