2008年当時イギリスでは『タイタニック』をしのぐ歴代1位の大ヒットとなった『マンマ・ミーア』の続編、『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』は、前作にも増して、幸福感高まるミュージカルだ。
前作の『マンマ・ミーア!』は、ギリシャのカロカイロ島でホテルを営むシングルマザー、ドナ(メリル・ストリープ)の娘ソフィ(アマンダ・セイフライド)の結婚式での出来事が発端。父親が誰なのか知らないソフィが、母に内緒で父親の可能性が高いサム(ピアース・ブロスナン)、ハリー(コリン・ファース)、ビル(ステラン・スカルスガルド)の三人に結婚式の招待状を送った。そこで巻き起こる騒動がチャーミングに描かれた。
『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』では、ドナとソフィの夢だったホテルの新装オープンを迎え、ソフィはパーティ開催を計画。だが、ソフィの心は複雑だ。夫スカイ(ドミニク・クーパー)とは、心がすれ違い気味。パーティも嵐に巻き込まれ、開催が危ぶまれる。そんな中、妊娠が発覚し、ソフィは母の若き日に思いを馳せる。ソフィの父の可能性がある三人との出会いの秘密や、なぜ別れることになってしまったのか、その経緯が現在のソフィの心情と呼応するように描かれる。
ドナの若き日を、『シンデレラ』(2015)、『ベイビー・ドライバー』(2017)のリリー・ジェームズが演じている。まぶしいほどパワフルに歌って踊り演じ切り、映画の華やかさに大きく貢献している。一方、現代パートの中心となるソフィ役のアマンダ・セイフライドは、大人のしっとりとした印象を見せる。抑制の効いた演技で対照的だ。
『マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー』は、歌やダンス、パーティが繰り出される、お祭り的な映画に思えるかもしれない。その要素はもちろんあって、特にドナの友人、ターニャとロージーがコメディパートを支え、年齢なんて関係ないとばかりに十分パワフル。高齢の女性の幸福を描いた「マリーゴールド・ホテルで会いましょう』 (2011)のオル・パーカー監督ならではである。
出会いと別れが描かれ、一人で生きていく決意の健気さを見せる若き日のドナの姿には、エネルギッシュな幸福や喜びだけでなく、生きることの儚さや寂しさも感じさせる。映画を引き締めるように登場するスーパースタードナの母を演じるシェールの圧倒的な歌唱力を堪能した後、ラストでは、綿々と引き継がれていく人間の営みのシンプルな美しさがゆっくりと立ち上がる。 (オライカート昌子)
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2018年8月24日(金)全国ロードショー