『チャンス商会 ~初恋を探して~』映画レビュー

(C)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved.
(C)2015 CJ E&M Corporation, All Rights Reserved.
筆者の家の近くに高齢の客が多いカラオケスナックがあります。そこで、連れ合いを亡くしたおじいさん、おばあさんたちの恋模様を何度か目撃しています。

恋愛に歳は関係ないのだと感じた場面……という内輪話は置いておいて、本作は70歳の恋愛経験もない堅物おじいちゃん(ソンチル)と花屋の美しい女主人おばあちゃん(グンニム)の胸キュン物語と二人にまつわる人々と街の再開発がパラレルに進んで行くのですが、その先に思いもしない真相が明らかになってゆく現在・過去・未来の物語なのですが、未見の方後半は読まない方が身のためです(笑)。

頑固で口うるさい独り身ソンチルは「チャンスマート」を長年支えてきたベテラン社員ですが、プライドが高く他人への配慮は皆無の面倒なおじいさん。街全体が再開発ムードに沸き返る中一人で猛反対し同意書への押印も拒否し続けます。ある日、一人暮らしの向かいの花屋の女主人 グンニムと娘のミンジョンが引越ししてきます。グンニンはいつも不機嫌なソンチルに微笑み気遣います。初めて受けた女性の優しさに戸惑いながらも食事をすることになるのです。ソンチルは初めてのデートを前に「チャンスマート」の社長に内緒の相談とデート指南をお願いします。

二人の噂は街中に広がり人々は喜びますが、何故か、ただ一人グンニンの娘ミンジョンだけは二人の関係を喜ばしく思っていなかったのです。

ある日、グンニンは偶然にソンチルの遺書を発見してしまい、そんなに寂しい思いをしていたのだと泣き崩れるのでした……。

※以下大注意
【強力なネタバレ故にここから先はキーワードだけ記しますが、映画鑑賞後まで読まないでください】
▽初恋の思い出 ▽ソンチルの物忘れ ▽信じられないほど優しいグンニン ▽ミンジョンの苛立ち ▽必要以上にソンチルに気を遣う「チャンスマート」の社長 以上のワードのピースを繋ぎ合わせると本作のメインストリームがわかると思いますし、おじいさんとおばあさんの一般的なラブストーリーではないことに驚くことでしょう。

是非、劇場でご覧になりラストシーンで涙してください。    
(中野 豊)

■2015年 韓国映画/上映時間:111分/監督:カン・ジェギュ/出演:パク・クニョン、ユン・ヨジョン、チョ・ジヌン、ハン・ジミン、ムン・ガヨン、チャンヨル ほか
オフィシャルサイト:http://jangsumart.jp/