『スクランブル』映画レビュー

5、6年前のことかな。

「ネタバレは映画鑑賞の楽しみを奪うもの」と思われているけど、それは全く逆で、「むしろ楽しみを助長させるもの」だという研究結果が発表されたっけ。

出処は海の向こう、カリフォルニア州立大学の心理部のみなさん。教授が生徒10人に向けネタバレの影響を心理的に実験したんだと。
すると、「結果を知らされている方がより安心して楽しめた」と出た。
ほんまかいな。

12月公開とされる『オリエント急行殺人事件』のようなミステリーはあかんでしょ。アガサ・クリスティーの拳骨(げんこつ)が飛んでくるよ。

じゃあ、『スクランブル』のような破廉恥アクションはどうだろう。。。
ちょっぴり考えてみた、笑。

盗っ人兄弟が40億円の高級車を強奪するがあっさり見つかりゆすられる。
敵対するマフィアが所有するこれまた40億円もの高級車を奪ってこい、という。
兄弟は、一流ハッカー、天才スリ師、爆弾オタクなどの手を借りて、約束通り一週間でクルマを盗み出すことができるのか。

物語は、2大マフィアに睨まれながら秘密裏にコトを進めなければならないサスペンス状態なんだけどさぁ。。。

● 兄は恋人が人質とされたその夜にピザ屋に行って美味そうなピザ食っているし、

● 弟は四面楚歌なのに美女とベッドインしているし、

● 爆弾作りに精通しているはずの助っ人はいつも失敗ばかりしている等々。

お前らはアホか。

でも、破廉恥アクション映画には、こうしたシーン、不可欠なんだよね。
見ていてイライラさせるシーンがさ。。。

ネタバレでもいいから、はやくラストを教えてくれ、そうすりゃ、イライラすることもなく安心してポップコーンを食えるから。。。

こうした思いがカリフォルニア州立大学心理部のみなさんの実験結果なのでしょうか、ね。

さて、この『スクランブル』という映画、古株の映画ファンには涙モノ。

クリント・イーストウッドの息子、スコット・イーストウッドが主演を張っているのだ。正面、眉間にしわを寄せているところなんぞ父親にクリソツ。

調べてみたら、親父56歳のとき、客室乗務員との間に産まれた婚外子なんだね。ね、これも破廉恥アクションでしょ。

そのスコット君が役づくりでイメージしたのがスティーヴ・マックィーンというから映画ファンはまた涙。

スコット君の衣装は、マックィーン主演のアクション映画『ブリット』(68)へのオマージュでラフなジーンズとジャケットが選ばれたという。

腕時計は、『栄光のル・マン』(71)でマックィーンが愛用したホイヤーなんだって。

新参者にはスコットの恋人を演じたアナ・デ・アルマスをお薦めしたい。

キューバはハバナの生まれ。

2015年度「世界で最も美しい顔100人」で堂々の9位に輝き、今秋最大の話題作『ブレードランナー 2049』にも重要な役柄で出演していると噂の女優さん。

思い出した! 『ノック・ノック』(2015)ではキアヌ・リーブスが骨抜きにされてたっけ。

さぁさぁお立会い。盗っ人兄弟、ハッカー、女スリ師に、爆弾オタク。
そして複数の天才ドライバーたちが芸術品とも言える高級クラシックカーをキズっこひとつ付けずに盗み出せるのか!!

あっ、やっぱりこれ、ラスト知ってちゃダメダメだよね。

(武茂孝志)

スクランブル
(C)2016 OVERDRIVE PRODUCTIONS – KINOLOGY – TF1 FILMS PRODUCTION – NEXUS FACTORY
2017年9月22日(金)TOHOシネマズみゆき座 他全国ロードショー
監督: アントニオ・ネグレ
出演: スコット・イーストウッド
フレディ・ソープ
アナ・デ・アルマス
配給:ギャガ
2017年/フランス・アメリカ映画/94分/アクション
公式サイトhttp://gaga.ne.jp/scramble/