『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』とは

『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』とは、イギリスの伝説的バンド「オアシス」の元フロントマン、リアム・ギャラガーの真実の姿を描いた、ドキュメンタリー。リアム・ギャラガーの成功と挫折、様々な経験をしながら変化していく姿を描く。
監督は、ギャビン・フィッツジェラルド、 チャーリー・ライトニング。

伝説のUKバンド、オアシスとは

全世界でのトータルセールスは5000万枚以上を記録している。正統派ブリティッシュバンド。

1991年にノエル・ギャラガー(リードギター、ボーカル)、リアム・ギャラガー(ボーカル)の兄弟を中心に結成された。2009年まで活動。

イギリスの音楽雑誌Q誌の選ぶオールタイムベストアルバムベスト50の1位に『デフィニトリー・メイビー』が選ばれている。発表された7つのアルバム全てが、UKチャート1位を獲得、プラチナアルバムとなっている。

代表曲に『ホワットエヴァー』、『サム・マイト・セイ』、『ドント・ルック・バック・イン・アンガー』など。

リアム・ギャラガーとは誰

リアム・ギャラガーは、伝説のバンド、オアシスのフロントマンとして絶大な人気を誇る。1972年9月21日生まれの48歳。イギリスの音楽雑誌、Q誌の選ぶオールタイムベストシンガーの11位に選出されている。

オールタイムベストシンガー
1位、エルビス・プレスリー、
2位、アレサ・フランクリン、
3位、フランク・シナトラ、
4位、オーティス・レディング、
5位、ジョン・レノン、
6位、マーヴィン・ゲイ、
7位、カート・コバーン、
8位、ロバート・プラント、
9位、ミック・ジャガー、
10位、フェフ・バックレー

オアシス時代のリアムは、素行の悪さ、奔放な言動、ドラッグや女性関係の噂などが英国のタブロイド紙で頻繁に騒がれていた。

2017年に発表したソロアルバム『As You Were』がUKチャート1位を獲得。完全復活を果たした。

『リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ』映画レビュー

リアム・ギャラガーは、兄弟げんかがもたらした、幸せな運命の流れを描いた映画だ。登場人物は実在で、ドキュメンタリーなんだけれど。

喧嘩や別れや言い争いは、決して、よくとられることはないけれど、人生はミステリアスだ。良いことと悪いことはその時々で、様相を変えてくる。『リアム・ギャラガー』では、それがとてもわかりやすく描かれている。

主人公は、かつて世界を圧倒した人気バンド、オアシスのメンバーで、主にボーカルを担当したギャラガー兄弟の弟、リアム。

横柄で不遜。暴言、狼藉当たり前。自分の力を100%信じている。迷いなどひとかけらもない。ロックンロールスターによくいるタイプだ。

彼が喧嘩をした相手は、実の兄のノエル。この喧嘩により、オアシスの楽曲の中心的存在だったギャラガー兄弟の兄の方、ノエル・ギャラガーが脱退。

伝説のバンド、オアシスは、名前をビーディ・アイに変え、再出発するものの、不発。リアム・ギャラガーは、ファッション界に進出するも、新参者として成功とは程遠く、私生活にも問題を抱えてしまう。

ところが、そこから大逆転劇が始まる。ドキュメンタリーの持つドラマ性が遺憾なく発揮されていて痛快だ。だが、ここまでは映画の冒頭に過ぎない。

リアムのストーリーを、苦闘だけではなく、軽やかに俯瞰した視線で描いていて、徐々に見ているのが心地良くなってくる。

様々な出来事や出会いにより変化していくリアムの人間性の気持ち良さ、そして彼のあり方を最大限に表現する方法としての音楽の凄みが、爽快さを増幅する。

彼にとって音楽は普段やること。時間がありさえすれば、ギターを手に取る。自然体で、どこにも不要な力が入っていない。

だからこそ伝わる。どの世代にもアピールし、本当の意味で世代を超える音楽となっていく。特に、10代のファンをどんどん獲得していくところにはワクワクさせられる。

ところで、伝説のバンド、オアシスを空中分解させた、ノエルとリアムのギャラガー兄弟の争いの理由はどこにあったのか。単なる兄弟喧嘩ではなく、ロックンロールに対する根本的な考え方の違いがあったようだ。

兄のノエル・ギャラガーは、ロックンロールは音楽=曲だと考える。ところが、弟のリアム・ギャラガーは、ロックンロールはあり方だ、ととらえる。

いわゆる、音楽性の違いだ。バンドが解散するときによくある理由。離婚する夫婦が性格の不一致をあげるように。歩み寄るのは難しいかもしれない。

リアムにとって、ロックンロールは自分自身のあり方と切り離せない。だから、妥協もできない。声の調子が悪ければ、スタジアムいっぱいの観客が彼を待っていようとも、喉を優先する。自分がいなくては、ロックンロールもないからだ。

彼が成長し、あり方や生き方が変わると、彼のロックンロールも同時に変化を遂げていく。その展開がスリリングだ。

リアム・ギャラガーという映画の心地良さの理由の一つは、彼の自己肯定力からももたらされる。わたしも自己を肯定していきたいと思うけれど、いつも簡単にいくわけではない。そういう時に、自己の変化を自然に肯定していき、自分のあり方を謳歌するこの映画は、ポジティブ薬のような効果をもたらすと思う。

オライカート昌子

リアム・ギャラガー:アズ・イット・ワズ
(C)2019 WARNER MUSIC UK LIMITED
2019年製作/89分/G/イギリス
原題:Liam Gallagher: As It Was
配給:ポニーキャニオン