サンクタムの画像
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『サンクタム』で洞窟リアル体験
『サンクタム』ってどんな映画?と、見る前に聞かれて、「宇宙のモンスター映画かな?」と答え、そのつもりで見に行ってしまった。それは大きな間違いだったけど、思っていたのと違った分、面白さは倍増だった。

人の手が届かない秘境にある広大な地底の穴。そこを探検しているチームがアクシデントに見舞われ、脱出しようとする冒険サバイバル映画だった。しかも3D。こういう映画こそ、3Dで見たいよね。さすがジェームズ・キャメロン製作総指揮。目の付け所が違う。

監督のアリスター・グリアソンは新鋭だし、キャストは地味。華には欠けるが、閉所恐怖気味の恐怖感はリアル。一人ずつ聖域(サンクタム)の犠牲になっていく姿は、ホラー映画さながらだ。極限状況にあってこそ人間性があらわになっていくのもお約束。

ストーリーの中心人物は、伝説の冒険家フランク(リチャード・ロクスバーグ)。このフランクの超人度と無慈悲ぶりが凄い。中高年で脂肪もたまっているけど、何があってもこの人だったら乗り越えるだろうと思える信頼感がある。フランクの不肖の息子(リース・ウェイクフィールド)もチームの一員だ。親子の葛藤と和解が物語のサブストーリー。

能天気なスポンサー(ヨアン・グリフィズ)と、自然への挑戦ならお手の物の自信家のガールフレンドも登場してくる。二人でチームをかき乱していくが、そのあたりの人間模様は、少し表現力不足に感じた。

『サンクタム』のみどころは、迷路のような水中の洞窟の様子や圧倒的な空間描写が一番だ。3Dで見ることで体感経験として記憶に刻み付けられる。3Dの未来や映画の可能性を広げる映画としての価値を感じる。今後のジェームズ・キャメロンの仕掛けはどんなものになるのだろうと楽しみになった。

(オライカート昌子

サンクタム 
公式サイト  http://sanctum-movie.jp/