映画『カウントダウン』は、余命がわかるアプリをダウンロードしたことで、死のカウントダウンが始まってしまうライトホラーです。今回は、『カウントダウン』を楽しむポイントをピックアップ。
映画『カウントダウン』とは
誰もがスマホを持つ時代。ちょっとした好奇心で、余命がわかるアプリをダウンロード。それが、恐ろしい運命を招き寄せることを知らずに。
やがて、死へのカウントダウンが始まってしまいます。ヒロインたちは、迫りくる死から逃亡をしようと、アプリを削除しようとしますが、それはうまくいくのでしょうか?
『カウントダウン』は、”呪い”をスマホやアプリという現代的な形で蘇らせ、より身近で、恐怖心をそそる内容となっています。
映画 カウントダウン あらすじ
パーティで遊び心から余命がわかるアプリをダウンロードする若者たち。みんな、長い余命を見ておおはしゃぎ。
コートニーは、気が進まないけれど、友達に促されるままアプリをダウンロードしてしまう。余命は3時間!
まさかと思うけれど、不安は消えない。酔っている彼氏の運転する車から降りて、歩いて家に帰ることに。余命カウントダウンは、止まらない。そのうえ「規約違反です」という文字が。
家にようやくたどり着いたものの、結局彼女は、時間ぴったりに命を落とす。
一方、病院で看護婦見習いとして働くクインは、一人の患者が気になっている。閉鎖病棟に閉じこもるその患者は、コートニーのボーイフレンド。コートニーが命を落とした丁度その時交通事故を起こしていた。
クインも好奇心に駆られて、アプリをダウンロードしてしまうが、彼女の余命は3日間だった。クインは、アプリを削除しようとするが、それも難しい。何かほかに手立てはあるのか、彼女は苦闘する。
映画 カウントダウンを読み解く その1 カウントダウンでの、余命の長さにはヒントがある?
映画『カウントダウン』で、ヒロインのクインたちは、極端にに短い余命カウントダウンを表示されてしまいます。人によっては、70年や80年なのに。
なぜ、ヒロインたちは、短い余命しか与えられないのでしょうか? 気になるところですよね。
サム・ライミ監督の『スペル』では、銀行に勤めるヒロインが、ローン返済の相談にきた老婆をすげなく扱ったことで、呪いにかけられてしまいます。映画『カウントダウン』では恨みをかうようなことはないのに。別に何か、余命が短くされる理由があるのでしょうか?
ヒロインを始め、余命が短い登場人物には共通点があります。(最初に短い余命しか与えられないコートニーはそこまでの描写はありませんが)
それは、身近な人の死に対して、罪悪感を持っていること。
あの時、ああすれば良かった、こうすれば命を救うことができたのでは? という過去の後悔が、彼らにつきまとっています。
そこに負の何かが付け入る隙を与えたのではないでしょうか。
ほかの人々と、短い余命しか与えられないヒロインたちとの違いはそこだけ。
過去にとらわれず、今を明るく謳歌している分には、暗いパワーに悩まされることなどない。まさに引き寄せてしまっているということではないでしょうか。
映画 カウントダウンを読み解く その2 アプリと恐怖が結びつくのはなぜ?
恐怖の介在物といえば、人はもちろん、人形や本、椅子や箱、車。
それが電子機器が発達するにつれ、恐怖の発信源の形も変化してきました。最近の主流は携帯電話から、スマホです。そして、今やスマホアプリとなったわけです。
恐怖の媒介物は流行りものが、多いのです。映画の観客たちも、新しい何かが見たい、同じように暗いパワーも同じなのかも。
みんなが欲しがるものを狙え。そこに秘密がありそうです。
映画 カウントダウンを読み解く その3 クールなヒロイン、一風変わった脇役たち
ホラー映画のヒロインと言えば、恐怖の演技で魅惑する、巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督作品に登場するタイプが有名。
最近は、クールに大胆に恐怖と戦う女タイプも多いですね。
映画『カウントダウン』のヒロイン、クインを演じるエリザベス・ライルは美しい風貌を持っていますが、クールに恐怖と戦うところに強さを感じさせます。
彼女を悩ますものは、超自然な恐怖だけではありません。理不尽な上司とも戦っていきます。
登場人物と言えば、ホラーでは脇役も個性的な人物が多いのですが、『カウントダウン』にも興味深い人物が登場します。
ダークな存在の超ファンである神父。スマホショップのオーナーなど。
彼らは果たして、ヒロインたちの助けになるのでしょうか。
なって欲しいところですが、だれよりも強い意志と技術でダークな存在に立ち向かう戦力を持つのがヒロインだったりするのです。
映画 カウントダウンを読み解く その4 死の意味とは?
普通の映画の中には、死とは何だろうか、大切なものを失うことにはどんな意味があるのだろうかと、考えさせてくれるものがありますが、
ホラー映画の多くが、最悪の状態が、”死”であり、そこから逃げるのは当然という前提で描かれています。
”死”が怖くなかったり、気にしていない人は興味がそそられないかもしれませんね。
そんなはずはない。「死は怖いものですヨ!」と、強引に主張するのがほとんどのホラーとも言えそうです。
映画 カウントダウンは、死そのものより、”余命の長さ”にスポットライトを当てているところが特徴。
誰もが死へのカウントダウンの日々を過ごしているけれど、それが長いのか、短いのか。
深いテーマです。カウントダウンは、アクション風味のライトホラーなので、考えさせられるタイプの映画ではないのですが。
これを機会に、ちょっとだけ死について、そしてその反転の意味の”生”について考えてみるのはいかが?
映画カウントダウンは、怖いの? 怖くないの?
カウントダウンは、わざとらしいおどろおどろしいシーンが頻発したりもしないし、グロテスクなシーンもほとんどありません。
むしろ、アクション的なシーンが多いタイプのライトホラーです。少しだけ怖い映画が見たいという人なら、十分楽しめる映画です。
(オライカート昌子)
映画 カウントダウン
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2020 年 9 月11 日(金) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開!!
COUNTDOWN 2019年 アメリカ 90分
監督:ジャスティン・デック
出演:エリザベス・ライル、ジョーダン・キャロウェイ、タリタ・ベイトマン、ティシーナ・アーノルド、P・J・パーン、ピーター・ファシネリ
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
公式サイト:https://countdown-movie.jp/