今や若手ナンバーワンスターの座に踊りでたチャニング・テイタムが、自らのスキャンダルを逆手に取って、ごきげんな映画を作り上げた。
『マジック・マイク』を日本のスクリーンで目にすることができるとは、嬉しい限りだ。そんなふうに思う女性は、少なくないだろう。だって世界屈指のイケメンたちがズラリと並び、熱いストリップを見せてくれる映画なのだから。
監督はアカデミー賞受賞監督スティーブン・ソダーバーグ。下世話な話にはせず、お上品にまとめているところに好感が持てる。プロデュースから資金面の手当、原案(自分の過去の体験を参考に)、主演までをチャニング・テイタムがこなした。
チャニング・テイタムのストリップダンスはパワフルで、恥ずかしさはこれっぽっちもなく、自信に満ちていて気持ち良い。自分の有り様とスキルの全てをストレートにさらけ出し、嫌味のない誇りがスクリーンからこぼれだす。
チャニングが演じるマイクは、ストリップシアターの王様だ。ストリップ以外にも、左官屋、家具職人などいくつかの仕事を掛け持ちし、いつかは自分の夢を叶えたいと願う30代。
女性には群がられるものの、タイプの女性には奥手らしい。
そんなマイクに弟分ができる。大学を中退し、未来が見えないまま適当に日を過ごしていたアダム(アレックス・ペティファー)だ。アダムはやがてストリップに参入し、マイクはアダムの保護者的立場をかってでる。
ストーリーは、マイクとアダムの確執とマイクの私生活の二つをメインに展開しながら、ところどころにストリップシーンが挟み込こまれる。
女性の観客には大興奮のストリップシーンも、男性の観客ならワクワクさせられることもないだろうし、マイクのふがいない恋愛も人ごとにしか見えないかもしれない。
そんなあなたにはマシュー・マコノヒー演じるダラスの一本筋の通った冷徹なあり方を楽しんで欲しい。
汚れ役というには華やかで、楽しみ過ぎているが、やるときにはやる。客をとことん喜ばせているのだから、どれだけ金を稼ごうが、文句を言われる筋合いはない。ダラスを見ていると、マイクはまだまだ修行が足りないんじゃない?と、言いたくなる。(オライカート昌子)
マジック・マイク
監督:スティーヴン・ソダーバーグ(『オーシャンズ11』シリーズ、『コンテイジョン』)、音楽:フランキー・パイン 振付:アリソン・フォーク、出演:チャニング・テイタム(『G.Iジョー』『君への誓い』)、アレックス・ペティファー(『アイ・アム・ナンバー4』)、 マシュー・マコノヒー(『リンカーン弁護士』)、マット・ボマー(「ホワイトカラー」)2012年/アメリカ/シネマスコープ/音声5.1ch/110分/原題:MAGIC MIKE/配給:カルチュア・パブリッシャーズ、ブロードメディア・スタジオ
宣伝協力:クレストインターナショナル
8月3日(土)、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマ、シネマカリテほか全国順次公開
公式サイト http://magic-mike.jp/