名古屋の結婚式は派手だと聞くが、アメリカの結婚式に見られるブライズメイド(花嫁介添人)のシステムも相当気合いが入っている。この映画は結婚式の舞台裏で奮戦するブライズメイズの姿を騒々しく華やかに、強烈な下ネタをからめて描く。演じるのはアメリカのコメディエンヌ6人。のっけからヒロインのアクロバティックなセックスシーンがあり、「こういう映画だけど付いてこられる?」と挑発されるかんじだ。
ヒロイン、アニーを演じるクリステン・ウィグはなかなか魅力的で、彼女に誘われるように進むと、そこにはサービス精神あふれる世界が開けている。アニーは親友リリアン(マーヤ・ルドルフ)の結婚式のブライズメイドのリーダーをまかされたが、花婿の上司の妻ヘレン(ローズ・バーン)のセレブ臭漂う態度にカチンとくる。自分勝手なセックスフレンドしかいないアニーにとって、親友リリアンは得がたい存在だから、彼女を横取りしそうな勢いのヘレンに対して警戒心が高まる一方。案の定、トラブルが続出する。
まずは結婚式にブライズメイズが着る衣裳を選びに行った高級店で、ほぼ全員が吐き気と下痢の症状に見舞われる。トイレに駆け込んだ面々が見せる醜態はついぞお目にかかったことのないすさまじさ。芸達者な面々だけに、その行為もさることながら、とにかく想像力を刺激する。太目のメリッサ・マッカーシーは、このシーンの演技でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたのではないかと邪推する。
独身最後のパーティのためにラスベガスにむかう航空機内では、飛行機恐怖症のアニーが薬と酒の併用で乱れ、全員がどうでもいいおしゃべりをし、それがむやみに楽しい。極めつけはヘレンの邸宅のセレブなパーティ会場で大暴れするアニーの姿。スタイル抜群の美人女優がここまでやってくれたらもう感動するしかないではないか。
肝腎なのは、いかにお下劣でも、この映画の根本にあるのは恥じらいを含んだ恋心だという点。アニーに恋したローズ巡査(クリス・オダウド)とアニーの無器用な恋の行方はラブコメディーのお手本のようで、恋に躓いた経験のあるひとなら誰でも胸が痛くなるはずだ。見て損のない力作コメディーである。
(内海陽子)
ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン
2011年 アメリカ映画/125分/監督:ポール・フェイグ/出演:クリステン・ウィグ、マーヤ・ルドルフ、ローズ・バーン、ウェンディ・マクレンドン=コーヴィ、エミリー・ケンパー、メリッサ・マッカーシー、クリス・オダウドほか/R15+/配給:東京テアトル
2012年4月28日(土)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国ロードショー!
オフィシャルサイト http://bridesmaidsmovie.jp/