映画スノー・ロワイヤルは面白い? 面白くない? 映画レビューとスノー・ロワイヤルをより楽しむためのちょっぴり無駄知識

スノー・ロワイヤルは面白い? あなたにぴったりの映画? 楽しめる? そういう疑問に答えます。スノー・ロワイヤルの映画レビューだけでなく、無駄知識(トリビア)まで。北欧サスペンスのハリウッドリメイクサスペンス、スノー・ロワイヤルを楽しんでみませんか?

スノー・ロワイヤル映画レビュー

スノー・ロワイヤルは北欧発、ハリウッドリメイクの気分転換にピッタリな映画。普通の親父の復讐劇なのだが、尖っていて過激。

凄惨だけど、頬が緩む瞬間も多い。多面的なので、あなたの趣味がどうであろうと、たっぷり楽しめると思う。

私の場合は、映画の前にプレスシート(パンフレット)を見た瞬間、ああしまったと思った。

除雪作業員を「模範市民賞受賞の普通の中年男が息子が殺されたことをきっかけに、ブチ切れる」と書いてあったのを読んでしまったからだ。

これは重大なネタバレじゃないか。できれば、何が起こるか知らないまま見たかったと思ってしまった。

ところが、ネタバレなんて気にする必要があるような、柔な映画ではなかった。

まず、息子が殺されるのは、始まってすぐだ。生前の描写もごくわずか。気持ちが痛む余裕もない。

その後は、ゆっくりとした雪上車のごとく、親父の復讐劇は気持ちの良いリズムを刻みながら進んでいく。

親父を演じるのは、リーアム・ニーソン。役柄として今までさんざん人々や獣(熊)などと戦ってきているので、彼が普通の親父だと思うのは、無理があるところではある。

ただ、彼が普通の親父でいられるのも、映画が始まって間もなく終わる。

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前述したとおり、息子を失ってしまうからだ。麻薬のオーバードースで命を落としたと、警察は言うけれど、彼は納得できない。息子が麻薬をやらないことを知っていたからだ。

そのうち真相が少しだけ見えてくると、彼はまるで復讐につかれたようになってしまう。そのブチ切れ具合も少し普通の復讐とは違う。

普通の復讐(殺人)なら、もっと感情的になったり、コントロールが効かなくなったり、あるいは考えすぎて知的な方法を取ったりするだろう。

彼の場合は、今までの模範的で地味な生き方同様に、丹念にまっすぐに、ブレもなく、淡々とルートを走っていくのだ。

人は今までやってきたことの延長線上でしか生きられないということを改めて感じさせられた。

『スノー・ロワイヤル』の監督は、ノルウェーのハンス・ペテル・モランド。オリジナルのノルウェー版の『ファイティング・ダディ 怒りの除雪車』(2014)の監督でもあり、『スノー・ロワイヤル』は、ハリウッドでのセルフリメイク。

ノルウェー版で父親を演じていたのは、ステラン・スカルスガルド。一癖ある役が多いけれど、リーアム・ニーソンに比べると、普通の父親がよく似合う。オリジナル版は未見だけれど、きっと普通の父親の中に狂気が見え隠れする役としては、ステランの方がより似合うのではないかと少し感じてしまった。

スノー・ロワイヤルをより楽しむための無駄知識

スノー・ロワイヤルの評判、評価は?

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スノー・ロワイヤルの欧米での評判をチェックしてみました。
全世界15か国でNo.1ヒットしているスノー・ロワイヤルですが、
各サイトのプロの映画評論家の評価を一覧で見ることができるMetacritic.com では、
39人の映画批評家の平均スコアが57となっています。

それほど高くないイメージですが、
ネガティブ評価は38人中2人のみ。
17人がミックス評価で、ポジティブ評価が20人。
そのうち、7人が80点以上の高評価をつけています。

最近日本でも有名になってきたrotten tomatoの評価では、
一般評価が1953人中53。評論家評価が165人中69点。

ちなみに私の評価は80点です。

スノー・ロワイヤルに登場する見たことのない個性的過ぎるキャラクターたち

スノー・ロワイヤルには、様々な個性的すぎるキャラクターが登場します。

例を挙げると

健康志向の麻薬王
モーテルの清掃人ナンパに命をかけるギャング
チクリ屋の殺し屋
乙女チックな中年マフィア幹部
空を飛ぶために生まれてきたネイティブアメリカン
子どもに眠るために本を読んでとねだられて、除雪車カタログを読む主人公
など。
復讐が復讐を呼び、事態が急激に変化していく作品だからこそ、個性的な登場人物が作品を彩ります。

スノー・ロワイヤルはあなたにぴったりの映画?

スノー・ロワイヤルは少しでも血なまぐさい映画が苦手な人には向いていないかも。
あなたが、『ファーゴ』などコーエン監督の映画や、クエンティン・タランティーノ監督が好きだったら、絶対おすすめです。
最近の映画だったら、ネットでかなり評判になった『ベイビードライバー』が好きだったら、きっと楽しめるはず。

ぜひ楽しんでみてください。

(オライカート昌子)

スノー・ロワイヤル
原題・英題
Cold Pursuit
(C) 2019 STUDIOCANAL SAS ALL RIGHTS RESERVED

6月 全国ロードショー

■公式サイト
https://snowroyale.jp