のどかで心地よい邦画アクション
昭和に流行ったコミック(そしてテレビドラマ)が今頃映画化されるなんて愉快なことだ。しかも、純粋なアクション・エンターテイメントで、面白さを追求しようとする心意気が伝わってくる作品でもある。
冒頭から度肝を抜かれる。『ダーク・ナイト』、『ザ・タウン』ばりの銀行襲撃シーンが描かれる。その極悪さは上記の映画を上回る。が、そもそもこのぐらいの悪がそんざいしなければ、元犯罪者揃いの超法規的組織が生まれるわけがない。『ワイルド7』の存在意義のためにも、悪のスケールは大きくなければならない。
映画の中ではテロや犯罪が頻繁に起こるのだが、そのわりに殺伐さを感じたのは、冒頭だけだった。それ以外は不思議と”のだか”だったり、心地よさがあるのが不思議だ。原作が書かれた1970年代テイストが残っているからなのか、チームワークの描き方が極めて王道的だからだろうか? あるいは、アクションの爽快さだけを追求している割り切り具合にその理由があるのかもしれない。
7人のチームは、それぞれ個性的だし、キャラも立っているのだが、7人でひとまとめにされたような、こじんまり感がある。タイトルロールなのにひとまとめにされた、『三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船』の三銃士のようなイメージといっていいだろうか。ただ悪目立ちがなかったためにイメージも損なっていないので、続編があるなら楽しみになるだろう。
主演の瑛太は、存在感自体はベテラン勢には及ばなかったが、決して悪くはない。むしろ、将来的には往年の松田優作ばりの俳優になるのではないかという可能性を感じさせた。そのベテラン勢は素晴らしい。中井貴一(ワイルド7の指揮官 草波勝を演じている)と椎名桔平(ワイルド7の一員セカイを演じている)は必見の演技を見せてくれた。(オライカート昌子)
ワイルド7
2011年 日本映画/109分/監督:羽住英一郎/出演:瑛太(飛葉大陸)、椎名桔平(セカイ)、丸山隆平(パイロウ)、阿部力(ソックス)、宇梶剛士(オヤブン)、平山祐介(ヘボピー)、松本実(B・B・Q)、要潤(藤堂正志)、本仮屋ユイカ(岩下こずえ)、深田恭子(本間ユキ)、中井貴一(草波勝)/配給:ワーナーブラザース
2011年12月21日(水)、全国ロードショー
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