トランスフォーマーを見るときわくわくしてしまうのは、子供のころおもちゃで遊んだ記憶が刺激されるからだと思う。同様におもちゃの世界を描いた映画にトイ・ストーリーもある。トイ・ストーリーがおもちゃ自体を主人公に描いているのに比べ、トランスフォーマーが特別なのは、こどもが、おもちゃで遊ぶ想像の世界観をよりダイナミックにそしてスケール感たっぷりに描いているところにある。
善のおもちゃと悪のおもちゃが、日常の世界でバトルを繰り広げる。子供だったときは、確かにそんな想像をしながら、おもちゃを手に取ったと思う。
映画としての『トランスフォーマー』は、CGは凄いし、3D映像も格別だが、オートボット軍団もディセプティコンも本物らしくて、それでいてこどものころ触っていたおもちゃの質感を思い出させる。昔の友達に会ったような懐かしさと親近感を抱くのは私だけだろうか?
監督のマイケル・ベイの好みなのかもしれないか、今回の新ヒロインも、ミーガン・フォックスが演じたヒロインと同様に、バービー人形のような完璧さだ。なぜ彼女のような完璧な女性が、サムのような一般男性(前回は大学生活に戸惑っていたサムは、今回は就活で悪戦苦闘中だ)に夢中になるのか不思議だが、子供の夢が叶っていると考えれば納得がいく。
大人たちは、存在感もあるし、脇もしっかり固めているが滑稽なイメージは相変わらず。そして米軍NESTは、信頼感を感じさせる格好のよさで作品を引き締める。本格的な戦争映画的展開になるのはお約束だ。
御伽噺のように予定調和的で勧善懲悪的でも、これだけのエネルギーを注ぎ込まれ、畳み掛けるようなスピードとスケール感で描かれると、インパクトの強さで引き込まれる。映画館で、3Dで見るべき作品。(オライカート昌子)
トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン
オフィシャルサイト http://www.tf3-movie.jp/