
戦争映画を堪能したかったら、なんといっても臨場感と疑似体験だ。『ランド・オブ・バッド』は凄まじいレベルの体験を与えてくれる。理由の一つは、最新鋭のリアルな戦闘状況が描かれていること。
『ランド・オブ・バッド』の戦争体験には2つの舞台が用意されている。1つめは、文字通りバトルが展開される”最悪の地”。もう一つは、後方支援の司令室内だ。2つの臨場感が重なり合い、奏であう。それは過酷で美味な映像体験だ。
最悪の地でバトルに直面するのは、今まで実務(戦場体験)がほとんどなかったJTAC(統合末端攻撃統制官)の若手軍曹キニー(リアム・ヘムズワース)。最初のシーンでは朝食シリアルの味を選ぶのに四苦八苦している。そんな彼が、精鋭部隊のデルタフォースとともにアセット(誘拐されたCIAエージェント)の救出と回収に航空支援の連絡役として指名された。行先は、イスラム過激派が支配するズールー海の島。やがて彼は、孤独なサバイバルと逆襲に挑戦していくことになる。
最新のリアルな戦闘アクション、肉弾戦、空からの攻撃などのバトルと、タイムリミット緊迫感のレベルは高い。誰もが思わず「わあっ」とのけぞってしまうシーンが用意されている。SFスリラー『アンダーウォーター』のウィリアム・ユーバンク監督の巧さが際立つ。
無人戦闘機の操縦官エディ・グリムをラッセル・クロウ、若手軍曹キニーをリアム・ヘムズワースが演じている。この二人も対照的だ。リアムは、最初薄味だが、闘いの深みにはまる過程で強度を増してくる。デルタフォースの面々の個性も捨てがたい。
ラッセル・クロウの個性と充実の演技は、まさにごちそうだ。彼はほとんど司令室を離れないから、コスパ的にもタイパ的にも、本人にとって楽しい仕事だっただろう。そのおかげもあってか、彼の余裕と凄みの二重奏は極め付きのおいしいシーンとなって映画を支えている。
ランド・オブ・バッド
8月15日(金)より TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
監督・脚本:ウィリアム・ユーバンク
出演:ラッセル・クロウ、リアム・ヘムズワース、ルーク・ヘムズワース、マイロ・ヴィンティミリア、リッキー・ウィットル
2025年/アメリカ/113分/シネスコ/5.1chサラウンド/字幕翻訳:白取美雪/原題:Land of Bad/PG12
提供・配給:AMGエンタテインメント
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公式サイト:https://land-of-bad.jp