『犯罪都市 PUNISHMENT』映画レビュー 最強の敵と鮮烈なアクション

『犯罪都市 PUNISHMENT』は、鉄の拳を持つ刑事、マ・ソクト(マ・ドンソク)が活躍をするアクション・シリーズ、『犯罪都市』の4作目。前作の『犯罪都市 NO WAY OUT』は、日本では、今年2月に公開されたばかりだ。

同じシリーズとはいえ、前作が入り組んだプロットだったのと比べると、『犯罪都市 PUNISHMENT』の語り口は違う。よりシンプルに、よりハードになっている。特にアクションシーンの鮮烈さは極め付き。おまけに、マ・ソクトの巨大化にも拍車がかかっている。

冒頭がスリリングだ。走る男。追う男たち。最強にしか見えない男(キム・ムヨル)の登場。そうか、この男が、『犯罪都市 PUNISHMENT』のヴィランか。動きといい、存在感といい、いるようでいなかったヴィランだ。

見かけは公務員的な真っ当さがある。普通だったら、このような爆発力のある悪人には起用されないタイプ。それが怖さを醸し出す。

『犯罪都市 NO WAY OUT』は、幾人ものヴィランが、よってたかって、マ・ソクトに襲い掛かってきた。それが、『犯罪都市 PUNISHMENT』は、この男一人。それが、功を奏している。敵はこうでなくてはならないと、うなづいてしまった。

今回の犯罪は、ITとオンラインカジノ。ちょっと考えただけでも、マ・ソクトと相性が悪いのが、わかる。だから、助っ人を頼む。コメディパートでおなじみの人物も意外な役割を果たす。

それにしても、『犯罪都市』シリーズ、広がりと深化が止まらない。普通のシリーズだと、焼き直しや繰り返しが多く、だんだん勢いを失ってくるところだ。

『犯罪都市』シリーズは、新たな敵、新たなアクションシーン、新たな葛藤、新たな目的とスリルが、クオリティを維持している。『犯罪都市 PUNISHMENT』は、前述した敵の存在感がピカ一の上、クライマックスのシーンの激しさも忘れがたい。

『犯罪都市』は、新作がでるたびに、内容の進化はもとより、興行成績を伸ばしていく。

『犯罪都市 PUNISHMENT』は第74回ベルリン国際映画祭へ公式招待され、韓国のシリーズ映画史上初となる国際映画祭への出品を果たし、会場でも絶賛されたという。

主演のマ・ドンソクがシナリオの原案をはじめ、企画や制作を務めている以上、この流れが、止まることはないだろう。次回の『犯罪都市』シリーズも楽しみでたまらない。

監督は、『犯罪都市』過去全3作でアクション監督を務めたホ・ミョンヘン。

(オライカート昌子)

犯罪都市PUNISHMENT
9月27日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C) 2024 ABO Entertainment Co.,Ltd. & BIGPUNCH PICTURES & HONG FILM & B.A.ENTERTAINMENT CORPORATION, ALL RIGHTS RESERVED.
監督:ホ・ミョンヘン『バッドランド・ハンターズ』
主演:マ・ドンソク『エターナルズ』『新感染ファイナル・エクスプレス』『犯罪都市』シリーズ
出演:キム・ムヨル『悪人伝』、イ・ドンフィ『エクストリーム・ジョブ』、パク・ジファン『無双の鉄拳』ほか
2024年/韓国/カラー/シネマスコープ/5.1ch/原題:범죄도시4/英題:The Roundup: Punishment/109分/PG-12/字幕翻訳:根本理恵(C) 2024 ABO Entertainment Co.,Ltd. & BIGPUN