
陰謀論とレッテル張りされていたものが、あとから事実だと確認される状況が続出している。最近では米国際開発局(USAID)が世界的に注目され、今まで陰謀論にしか思えなかった状況を明らかにしている。
しかし、それは陰謀論だという思い込みが一度脳に刻み付けられると、状況を理解することが難しくなる。脳内アップデートが定期的に必要になるのは、年配者だけではないかもしれない。
韓国映画の『コメント部隊』は陰謀論と現実状況の狭間をクライムスリラーとして描いている。題材はネット世論操作。ネットの記事を見る人を、知らずに操作しようとする。新聞テレビも同じだ。権力にとっては、世論操作は大切なものという観点がある。
社会部記者イム・サンジン(ソン・ソック)は、ある告発で記事を書いた。相手は大企業。それが誤報だと言われ、停職になってしまう。それでも彼には実力があり、仕事ぶりは熱心だ。そんな彼に、世論操作に関する情報提供者がコメントしてくる。ネット世論操作を行うチームのメンバーだという彼は、詳細な情報を明かしてくれる。映画の興行収入を世論によって操作し、別の場合は一人の女子大生の人生をめちゃくちゃにしてしまうという具合だ。はたしてそれは本当なのか。
原作は、国家情報院の世論操作事件を題材にしたチャン・ガンミョン氏の同名小説。監督は、映画『誠実な国のアリス』で韓国社会を赤裸々かつ愉快に風刺し、映画界の次世代監督として注目されたアン・グクジン監督。『コメント部隊』も愉快な風刺味は健在。人気実力を兼ね備えた主演、ソン・ソックの自由自在で余裕を持った演技によるところも大きい。
聞いたことはあるけれど、実態が明らかにならないこともある。私たちがネットなどで目にするコトバに私たちを操作する力はあるのだろうか。ちまたで語られる陰謀論にリアルな部分はあるのか。それが現実ならば、状況を受け入れるほどの柔軟な心を、わたしたちは持っているのだろうか。
コメント部隊
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2月14日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開
配給:クロックワークス
監督・脚本:アン・グクジン
出演:ソン・ソック、キム・ソンチョル、キム・ドンフィ、ホン・ギョン
2024 年/韓国/109 分/ビスタ/DCP5.1ch/字幕翻訳:福留友子/原題:댓글부대/英題:
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