『SNS-少女たちの10日間-』に3倍驚愕する! あらすじ・みどころ
『SNS-少女たちの10日間-』とは
『SNS-少女たちの10日間-』は衝撃のドキュメンタリーです。何が起こるかわからないリアリティショーの原則をドキュメンタリー映画に持ち込み。現代のスマホ世代の子どもたちが直面する危険をありのままに、くっきりと浮かび上がらせています。
本国のチェコでは、ドキュメンタリー映画としては異例の大ヒットを記録。さらには児童への性的搾取の実際の証拠映像として警察を動かしました。
『SNS-少女たちの10日間-』を3倍驚愕する あらすじと、みどころ
映画『SNS-少女たちの10日間-』のみどころ その1 作品が生まれたきっかけ
ヴィート・クルサーク監督は、2017年に通信会社から一本の動画作成を依頼されました。動画の目的は、現代の子どもたちがインターネットで直面している危険に注目させるため。ヴィート・クルサーク監督は、同僚のバーラ・ハルポヴァー監督にもプロジェクトに加わってもらい、SNSに「12歳の少女・ティンカ」の偽アカウントを作成しました。
作って間もなく、様々な年代の83名の成人男性がコンタクトを取ってきた上、ビデオチャットを介した虐待の提案など、あまりにも衝撃的な事実が判明。監督たちは、これを長編ドキュメンタリーとして作成すべきだと決定しました。
映画『SNS-少女たちの10日間-』のみどころ その2 撮影方法
映画『SNS-少女たちの10日間-』は、女優のオーデションからスタートします。選ぶ基準は、18歳以上の成人女性でありながら、12歳に見えること。選ばれた3人は、ほぼ無名。彼女たちが12歳だということを信じさせるため、SNSの偽アカウントのプロフィール写真には12歳だった時の写真を使い、メイク、部屋の様子、12歳の少女たちが実際に使う文章、絵文字、略語などを丹念にリサーチしました。
巨大なセットに三つの少女の部屋を組み立て、それぞれ違う町にあるように照明や天候まで調整。女優たちの実際の部屋に会った小物や写真なども使っています。
映画『SNS-少女たちの10日間-』のみどころ その3 撮影ルール
三人の女優たちは、10日間の間、12歳の少女のフリをして、連絡してきた人すべてに、
SNSのチャットに応答することになります。フェイクでありながら、フェアであること、そして女優たちを守るため。撮影には、厳格なルールが適用されました。
①自分からは連絡しない
②12歳であることをハッキリ告げる
③誘惑や挑発はしない
④露骨な性的指示は断る
⑤何度も頼まれた時のみ裸の写真を送る
⑥こちらから会う約束を持ちかけない
⑦撮影中は現場にいる精神科医や弁護士などに相談する。
裸の写真は、プロの女優との合成写真を使っています。さらに10日間の撮影中には、精神科医、性科学者、弁護士や警備員など専門家を配置し、女優達へのバックアップとアフターケアを万全に行いました。
つぎはぎのでっち上げ映画にしないため、監督たちは、自分たちの疑問や、うまくいかなかった状況なども含め、映画製作のすべてを包み隠さず見せる覚悟で撮影に臨んだということです。
映画『SNS-少女たちの10日間-』のみどころ その4 あらすじと、映画で明らかになったこと。
女優たちが偽アカウントを開設すると間もなく、数十人の様々な年代の男たちがコンタクトを取ってきます。彼らの目的はあまりにもあからさまで、性的な誘いや、自分の裸の写真を送りつけてきます。彼らの行動はますますエスカレーターしていき、ぼかされているものの、想像するだけで怖気づいてしまう世界に突入していきます。
展開で一番衝撃的だったのは、一人の男が、スタッフの知り合いに似ていたこと。彼が本当にその人物だとすると、日常的に子供と接するキャンプや旅行の運営をしている人ということになります。その背景に見え隠れしてくるのは、子どもに虐待を仕掛ける無数の男たちのありのままの素顔です。
SNS-少女たちの10日間-映画レビュー
『SNS-少女たちの10日間-』は、恐ろしいドキュメンタリー映画だ。SNSに巣くう小児性愛者たちを罠にかけ、あぶり出す。その過程を見せてくれる。見るに堪えないシーンもある(ボカしているけど)。
『SNS-少女たちの10日間-』は、スマホをいじる子どもたちが次々と映し出されるシーンからスタートする。子どもたちでも、いつもスマホを触っている時代だ。以前には、そんな状況を危惧する意見があったはずなのに、それはは大きな波にさらわれてしまった。スマホが日常になるにつれ、子どもの世界は昔とは違うものになっていっている。そこで何に出会い、何を知ることになるのか大人は知らない。
スマホがもたらすものには危険がいっぱいあるけれど、その事実をしっかり知り尽くしている人はどれだけいるだろう。この映画を見ると、どれほどの危険がまん延しているのか、嫌でも目にすることになる。
映画の中には、人としての醜さがクローズアップしているけれど、ホッとさせるところもある。コンタクトしてきた人の中に、まともな人も紛れていたこと。まるで砂粒の中の宝石のようにかすかな光を放つ。人として当たり前のことが、こんなに貴重なことなのだろうかという驚きがある。人の醜さと美しさが、この世界にあることを改めて思い起こさせてくれる。これが世界の姿だと。
(オライカート昌子)
SNS-少女たちの10日間-
©2020 Hypermarket Film, Czech Television, Peter Kerekes, Radio and Television of Slovakia,
Helium Film All Rights Reserved.
2021年4月23日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー!
監督:バーラ・ハルポヴァー、ヴィート・クルサーク 原案: ヴィート・クルサーク
出演:テレザ・チェジュカー、アネジュカ・ピタルトヴァー、サビナ・ドロウハー
字幕翻訳:小山 美穂 字幕監修:牧野ズザナ 配給:ハーク 配給協力:EACH TIME
【2020年/チェコ/チェコ語/5.1ch/ビスタサイズ/原題:V síti/104分/R-15】
公式HP: www.hark3.com/sns-10days