映画ファウストの画像
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ゲーテの名作をロシアのアレクサンドル・ソクーロフ監督が新しい解釈で映像化。2011年のヴェネチア国際映画祭のグランプリを獲得した。19世紀初頭、森に囲まれたとある町を舞台に、知性や能力と引き換えに悪魔と契約をしてしまうファウスト博士の物語が展開する。

分析より感覚で観たい質なので、あくまで”味わい”だけ述べたい。

なんとも中毒になりそうなくらい自分には好みの雰囲気。観終わって何日もしてからジワジワと来る。シュールで幻想的な奇譚がめくるめく映像美で綴られ、目眩がするほど圧巻。

原作での悪魔メフィストフェレスにあたるキャラクターは金貸しマウリツィウスに置き換えられている。この俳優がまた強烈な存在感。典型的なヨーロッパ怪奇を髣髴とさせるその風貌(しかし声が小日向文世)。ファウストに対する態度は決して支配的でなく、親しい友人のようにヒョコヒョコと付いて回るその姿は、”怖カワイイ”とさえ思える。

1シーンが比較的長く、普段エンタメ映画寄りの人には退屈するかもしれない。が、マウリツィウスに魂を売ったファウストが次第に現実とも虚構ともつかない世界に呑み込まれていく様
は、まるで見てはいけないものを覗いてしまったような妖しい気分にさせられる。

『アイガー北壁』『ミケランジェロの暗号』などのゲオルク・フリードリヒがファウストの助手ワーグナー役を演じている。出番は少ないが印象的なキャラで、特にフラスコの中の人造人間(ホムンクルス)をマルガリータに見せるシーンは軽くショックである(だが、個人的には一番好きなシーン)。 とにかく、毒を飲んでしまったような奇妙な世界に包まれること請け合い。

(池辺麻子

ファウスト
2011年 ロシア映画/140分/原案:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ「ファウスト」/監督:アレクサンドル・ソクーロフ /出演:ヨハネス・ツァイラー、アントン・アダシンスキー、イゾルデ・ディシャウク、ゲオルク・フリードリヒ、ハンナ・シグラ ほか/配給:セテラ・インターナショナル
5月 シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
公式サイト www.cetera.co.jp/faust

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