『ジョン・カーター』の公開に先立って来日会見が行われました。来日会見に出席したのは、アンドリュー・スタントン監督、主演のジョン・カーターを演じたテイラー・キッチュ、火星のプリンセス、デジャー・ソリスを演じたリン・コリンズの三人です。その模様をレポートします。
ディズニー・ファミリー、ディズニープリンセスになれた幸せ
ウォルト・ディズニー生誕110周年記念作品の主役に選ばれたことについてはどう思いますか? と言う質問に、ジョン・カーター役のテイラー・キッチュは、「自分でも予期していないことで、非常に光栄。まさにディズニーファミリーのなれることは夢にも思っていないことでした」と答えました。
デジャー・ソリス役のリン・コリンズは、「生誕110周年というのは素晴らしいお祝いだと思います。ディズニーといえば、人種や階級、国境を無視して、どんな方々でも楽しめる作品を作ってきました。それこそがまさにディズニーマジックだと私は感じています。
わたしもやっと、ディズニープリンセスの仲間入りができたことが嬉しいです。4歳のころからの夢でした。それと今回ジョン・カーターのツアーでいろいろな国を回ってきたのですが、日本が最後の国です。それこそお祝いという形でツアーを終わらせることができたことを幸せに感じます」と答えていました。
アンドリュー・スタントン監督は、背後に飾ってあるクリーチャーを紹介しました。「これはタルス・タルカスと言って、火星に住んでいる様々な種族の中のサーク族の一員でサーク族のリーダーでもある人物です。ウィレム・デフォーによって演じられています。ちょっと似ているとは思いませんか?
実は10歳のときに原作の『火星のプリンセス』を読みまして、私が感銘を受けた人物です。ジョン・カーターが火星に行って初めて出会う火星のクリーチャーなんです。そのイメージが強く私の中に残っていて、ぜひ映画で見たいとずっと願っていたのです。それが今回叶ったわけなんです」と語っていました。
アニメ映画の秀作を作られてきていますが、実写映画に移られたのは自然な流れだったんでしょうか? という質問に、アンドリュー・スタントン監督は、「この映画に限らず、どの映画を撮るときも自然な流れと言うか、簡単なものはないんです。
常に大きな山があってそれを上っていかなくてはならないのです。やったことのないことにチャレンジしていくことは、ずっと、どの映画でも共通してやってきたこと。今回も、新しい冒険に出るという気持ちでした。
この映画に関しては、子供のころからずっと情熱を持って、このストーリーやキャラクターを映像で見たい、映像化してみたいとずっと感じておりました。そういう情熱がなければ映画化できなかったと思います。大きなプレッシャーがあるとしたら、自分がファンとしてずっと暖めていたものを、本当に自分が思い描いたようにできるかどうかということでした」と答えました。
火星のプリンセス役のリン・コリンズにはハローで参ってしまった
SFファンの男の子にとって、火星のプリンセスであるデジャー・ソリスというのは一番見たかったキャラクターだと思います。リン・コリンズさんをデジャー・ソリスに抜擢した理由は? と聞かれ、監督は「私が今回キャスティングした狙いは、「私を助けて、助けて」というようなか弱いイメージのプリンセスにしたくなかった。
本当の生身の人間が欲しかったし、また誠意を持って、この惑星を助けたい、何とかしたいという内なる情熱を秘めている、そして力強さを秘めている。そういうプリンセスが必要でした。
今回、リン・コリンズさんに関しては、オーデションで、歩いて入ってきた瞬間に納得しました。欲しい全てを彼女の中に見つけました。エージェントの言う言葉に、「ハローで参ってしまった」というのがありますが、まさにそうでした」と語っていました。
初めての実写映画でしたが、テイラーさんとリンさんにとって監督の采配というのはいかがでしたか? という質問にリン・コリンズさんは、「最初は、とても不安に感じていました。私の衣装はとても露出が多いし、せりふも普段は使わないような言葉が使われていたからです。けれど、毎日撮影が進んでいくにつれ、私の周りには安全ネットが下だけでなく、四方八方に張り巡らせされているということに気づきました。
それこそが監督だったんです。その監督の元で、私は女優として人間として、できる限りのことをやらせていただいた。そういう意味で人間としても成長できたと思います」と答えました。
テイラー・キッチュさんは、「やっと終わったよ」と冗談で答え、会場が爆笑すると、次にまじめに答えてくれました。「監督とは、強い友情を育むことができました。信頼を結ぶこともできた。凄く奇妙なことを要求された仕事でもあったし、普通だったらあり得ないことが起きたりもしました。監督は、もし戦場に行くようなことがあったら一緒に行きたいと思うような方です。もちろん映画もまた一緒にやりたいです」
一瞬とんでもないところに巻き込まれたと思った
日本では、同じく主演の『バトルシップ』も同じ日に公開になるテイラー・キッチュさんは、そのことについて聞かれ、「自分にとって偶然なのです。特にありがたく思っていることは、素晴らしい方々と一緒に仕事ができたこと。
キャリアを始めたときには、極力シンプルにやっていこうと考えていまして、自分に良い影響を与えてくれる人たちと一緒にやっていこうと思っていました。だから大きな映画でも小さな映画でも関係なく、楽しんで映画を作っていきたいと思っています。今は一生に一度のような素晴らしい経験をさせていただいています」と答えていました。
素晴らしい肉体美について聞かれたキッチュさんは、再び冗談で「全部CGです。予算は全てそれに費やされました」と答え、再び爆笑を受けていました。「大きなスクリーンで自分を見たときに、美しい自分であって欲しいというのがまずあります。撮影前にピクサーに行ったのですが、そのときに、こういう風になるというビデオを見せられました。
アクションのシークエンスを見て、一瞬、どうしよう、とんでもないところに巻き込まれてしまったと、思いました。美的にも見かけ的にもアクション的にも、どういうことを自分がしなくてはならないのか、そこで知ったんです。
合計12週間、食事制限やトレーニングを行いました。最終的には自分がつぎ込んだものが結果として戻ってくると言うのもありますし、求められたものはスクリーンで表現できたと思います」
テイラーの頬をテキサス流にひっぱたいて役を得た
二度目の共演だと思いますが、共感できたり分かり合えてやりやすかったというのはありますか? と聞かれ、キッチュさんは、「『ウルヴァリン』での共演シーンでは、彼女は死んでいたんですね。彼女が死んでいたので、二人の相性はバッチリでした」と、まず答え、次に「一度共演したので、信頼ができていてお互いよりよく理解し合えたと思います」
リン・コリンズさんは、「わたしは、テイラーのことが、大好きなんです。スクリーンテストのとき、ジョン・カーターの横っ面を叩くシーンがありました。そのとき、テイラーに、思いっきり叩いていいからね、と言われました。私はテキサス出身です。だから叩くのは得意なので、本当に、思いっきり叩きました。それで、二人とも役がもらえたんだと思っています」と身振りを交えて答えていました。
モーションキャプチャーについて聞かれ、アンドリュー・スタントン監督は、「モーションキャプチャーは、単なるツールだと思っています。ピクサーでもいろいろなツールを使いましたが、素晴らしい俳優が声を入れてくれるおかげでアニメーターたちも仕事ができるのです。今回は素晴らしい俳優たちにカメラの前で演技をしていただいたものを、アニメーターがいろいろと操作して作り上げました。
リンとテイラーが演技をするときも、単にテニスボールを相手に演技をして欲しくない、グリーンスクリーンの前で演技して欲しくないと思いました。本物の名優たちが演技することでよりシーンが面白くなりますし、俳優さんが立っているだけであっても、面白いものができたりします。そういうわけで名優たちを起用したいと言うのが、最初からありました。
ウィレム・デフォーさんの勇気
エピソードといえば、ウィレム・デフォーさんですが、本当に勇気がある方で、カメラの前で何もしない演技をすることができる方なんです。これは、アニメーターには考え付かないことです。名優だからこそ可能であり、われわれはそこからいろいろ学ぶことができました」
個性的なクリーチャーについて、リン・コリンズさんの答えは、「私が一番好きなのは、ソートです。私が上に乗るのですが、乗ってて楽しかったからです。砂漠の上のバギーに乗って撮影しました。私が家につれて帰りたいクリーチャーは、ウーラです。皆さん同じ答えになると思います。あれだけご主人様を無条件に24時間愛し続けるペットは他にいませんから」
テイラー・キッチュさんは。「答えが盗まれてしまいました。やはりウーラでしょう。映画の中で、どれだけ彼に助けられたか。撮影中は、人形遣いの人がウーラの頭の大きさのものを持って、ウーラはこういう感じだという風に示してくれました。それが演技に役立ちました。僕自身はテキサスのオースティンに住んでいて、ボートを持っているのですが、そのボートにウーラと名づけました。これは今初めて公で話すことなんです」と答えていました。
ジョン・カーター
2012年4月13日(金) 2D・3Dロードショー!
公式サイト http://www.disney.co.jp/johncarter/