10位「Me and Earl and the Dying Girl」
2015年/アメリカ映画
輸入版で鑑賞
さきのサンダンス映画祭で見事、審査員賞と観客賞ダブル受賞した快作。タイトル通り、「少年ふたりが余命わずかな少女」に夢を与える物語。映画好き必見。なぜなら、エンド・クレジットに「真夜中のカーボーイ」、「ブルーベルベット」など曲者映画が48作品も表記されるから。理由は見てのお楽しみ。
9位「Ex Machina」
2015年/イギリス映画
輸入版で鑑賞
直訳すると、「以前の仕掛け」。大手IT企業のプログラマー、ケイレブは人里離れた山岳地帯にある社長の自宅に招かれる。女性型ロボットの人工知能レベルを判定するためだ。そのロボットの知能は既存のAIを超越していて、ケイレブにここから逃がしてくれとある計画を語り始める。
8位「海へ行こう!」
2014年/チェコ映画
EUフィルムデーズ2015にて上映
名作「カッコーの巣の上で」や「アマデウス」で知られるチェコスロバキア出身の映画監督、ミロシュ・フォアマン。彼に憧れる11歳のトマーシュはデジカメ撮影に夢中。不審な行動をみせる父親を探ろうと尾行、隠し撮りを続けるが、徐々に家族の驚くべき秘密が明らかになる。誰もラストは予想不能。
7位「シム氏の大変な私生活」
2015年/フランス映画
東京国際映画祭2015にて上映
中年シム氏は、妻に逃げられ、職もなく、何をやっても上手くいかない。よくある話だが、ある男(マチュー・アマルリック)から薦められた本に出会ってから生活が一変する。営業職を得て、セールスの旅にもその本は欠かせない。伏線の効いたロードムービーの果ては驚きが待ち構える無人島であった。
6位「河」
2015年/中国映画
東京国際映画祭2015にて上映
遊牧民一家の幼い娘ラモは一人っ子。いつも妊娠中のお母さんのお腹を見ながら、赤ちゃんが生まれたら両親は自分にかまってくれなくなるのではないかと不安になっている。「例えば親子であるとか、宗教や俗世の間にも見えない河がある」と言う監督が描く、とてつもなく愛くるしい、宝石のような映画。
5位「ボディ」
2015年/ポーランド映画
東京国際映画祭2015にて上映
事故死、他殺、自殺など、連日さまざまな死体と対峙する刑事。ひとり娘のオルガは自分の肉体を嫌い、摂食障害を患っている。いがみ合うふたりのまわりに亡き妻の霊が現れ始めて。。肉体と精神の救済をユニークな形で描き切った人間ドラマ。ポーランドの国民性がちょっぴりうかがい知れるはず。
4位「今は正しくあの時は間違い」
2015年/韓国映画
東京国際映画祭2015にて上映
上映時間120分。60分ずつ映画を半分に分けて同じドラマを描く。ただ、後半開始8分ほどで男が放つ真っ正直なセリフで主人公の男女の関係は前半と微妙に変わっていく。アハハ、これは面白い、と同時に胸を締め付けられそうな恋物語に変貌していく。曖昧なタイトルの意味にも脱帽のホン・サンス作品。
3位「タンジェリン」
2013年/エストニア映画
EUフィルムデーズ2015にて上映
1990年代、紛争中の地でミカンの収穫時期を待つエストニア人の老人。日々、砲弾音が増してきてある日瀕死の重傷の兵士ふたりを匿うことになる。しかし、そのふたりの兵は敵同士だった。2015アカデミー外国語映画賞ノミネート作。終盤、兵士のカセットテープから流れる名曲に涙しながら席立てず。
2位「家族の映画」
2015年/チェコ映画
東京国際映画祭2015にて上映
海外旅行中の両親から突然連絡が途絶え、留守番中の息子たちに思いもかけない現実が矢継ぎ早に迫り来る。観る者の予想をすべて見事にくつがえし展開していく可笑しさ、そして怖さ。かつて無い不思議な感覚のエンディングに被さる曲「ライフ・ファンタスティック」。果たして泣くか、笑うか。
1位「お里帰り」
2015年/フィリピン映画
東京国際映画祭2015にて上映
「初の世界一周を達成したのはマゼランではなく、彼の奴隷であったエンリケである」。こんなホラ話風なエセ記録映画。1時間半過ぎでエンドマーク出るも、「特別にディレクターズ・カット版をお見せしましょう」と、物語は内面に迫っていく。結局2時間半にも及ぶグッド・ドラッグ・ピクチャー。
(選/文)武茂孝志)