2014年に日本で一般公開された10本の選出時、社会現象化した『アナと雪の女王』を基準(10位)に置いてあれこれ考えを巡らせていたら、最終的に贔屓監督の演出に心奪われた作品集となりました。純粋な娯楽映画はこぼれ落ち、1位~4位にいたってはレーティングRの大人映画ばかりです。

日本映画のトップが『アナ雪』を超えられず、結果外国映画のオンパレードになってしまいましたので、この場を借りて日本映画のベスト10を記しておきます。

10)
愛の渦
/9)百円の恋
/8)小さいおうち
/7)WOOD JOB! 神去なあなあ日常
/6)ふしぎな岬の物語
/5)紙の月
/4)蜩ノ記
/3)東京難民
/2)私の男
/1)舞妓はレディ

10位 アナと雪の女王

(2013年 アメリカ映画/監督:クリス・バック、ジェニファー・リー)
3Dで、吹き替え版で、DVDで何度も見ました。Wヒロインという新機軸。ピクサーとの共作ではない久しぶりのディズニー単体の傑作で、私も「レット・イット・ゴー」の年となりました。

9位 グランド・ブダぺスト・ホテル

(2014年 ドイツ=イギリス映画/監督:ウェス・アンダーソン)
映像デザインの妙。豪華ホテルのコンシェルジュを主人公に置いた1930年代~の時代背景の中でのサスペンス・ミステリー・コメディ!

8位 TATSUMI マンガに革命を起した男

(2010年 シンガポール映画/監督:エリック・クー)
「劇画」という言葉を生んだ漫画家、辰巳ヨシヒロの半生をみせるアニメーション。終戦後の日本の寒々とした情景など胸に迫ります。何故、日本資本で作れなかったでしょうね?

7位 ジャージー・ボーイズ

(2014年 アメリカ映画/監督:クリント・イーストウッド)
伝説のポップス・グループ「フォー・シーズンズ」の経歴を基にしたトニー賞受賞ミュージカルの映画化。演出も手堅く巧い……。君の瞳に恋してる♪を聴いて涙・涙・感動。

6位 毛皮のヴィーナス

(2013年 フランス映画/監督:ロマン・ポランスキー)
本作の基になった戯曲の原作は、レオポルド・フォン・ザッヘル・マゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」。演出家とオーディション女優の二人芝居の品格ある笑いとエロス。主従関係が二転三転する展開はケッサク。 

5位 ブルージャスミン

(2013年 アメリカ映画/監督:ウディ・アレン)
ニューヨーク・セレブが落ちぶれて、サンフランシスコでもがく姿を笑いにもっていくアイロニー。なんといっても主演のケイト・ブランシェットが巧い。

4位 ニンフォマニアック Vol.1 Vol.2

(2013年 デンマーク映画/監督:ラース・フォン・トリアー)
トリアー監督がまたやってくれました。色情狂の女性の回想記を通して、世間にあまりしられていないSEX依存を哲学・宗教・芸術・政治・心理学を用いて描きます。2014年公開作品中最もセンセーショナルな奇作!

3位 リアリティのダンス

(2013年 チリ=フランス映画/監督:アレハンドロ・ホドロフスキー)
『エル・トポ』で知られるホドロフスキー監督が23年振りに手掛けた自伝的要素と現実と空想が交錯するアート映画の決定版!『フェリーニのアマルコルド』を想起しました。

2位 アデル、ブルーは熱い色

(2013年 フランス映画/監督:アブデラティフ・ケシシュ)
恋する相手が同性というだけでマイノリティ扱いされてはあまりにも切なく・寂しいラヴ・ストーリー。カンヌ国際映画祭では、史上初監督並びに主演女優の2人にもパルムドールが贈られました。特にブルーヘアのレア・セドゥが素晴らしい!

1位 ウルフ・オブ・ウォールストリート

(2013年 アメリカ映画/監督:マーティン・スコセッシ)
スコセッシ×ディカプリオ コラボ作の中でも一級品! 2014年、最も燃えた豪快な金権?映画ですが、映画史上最も多い「F××K」連発からか、 R18+での公開になりました。ディカプリオ休業宣言前の作品としても記憶に残しておきたいと思います。 (文/選 中野豊)